【第3回】知識ではなく、人に提供する知恵こそが「価値ある学び」である

学びを再考するための7つのアイデア

人生の中で大きな時間を占める「働く」という行為の中で、人はどのように成長していくべきなのでしょうか。学校教育を終えて社会に出ると、”学ぶ” ということ自体を深く考える機会がない方もいるかもしれません。しかし、あらためて “学び” を再考することで、働く環境においていかに “学び” という視点が大事であるかが見えてきます。

“理想の学び” として知られ、世界で活躍するリーダーの多くが経験している「リベラルアーツ」。FICCでは価値創造を軸とする上で、リベラルアーツの考え方を重要視しています。

では、一体リベラルアーツとは一体どういった学びなのでしょうか。第4回にわたり、FICCの実際の取組みや考え方を交え、リベラルアーツの考え方を理解し、「学び」について再考するための7つのアイデアをご紹介する本連載。第3回となる今回は「知恵のアウトプット」というテーマでご紹介いたします。

前回の記事:
【第1回】働く上で自分の「興味」とどう向き合うべきか。リベラルアーツの視点から考える
【第2回】「ありがとう」を生み出すには相手への理解が重要。人生を豊かにする学びとは

有限な時間の中、学びを加速させるのはアウトプットの過程で経験する「無知の知」

第1回、第2回では、そもそもの「リベラルアーツとは?」というお話から、学び続けることでまだ見ぬ「ありがとう」を生み出すというお話をご紹介してきました。

しかし、自己の可能性を広げることだけが “価値ある学び” ではありません。関わる相手の可能性をも広げるのが価値ある学びであり、人に知恵を提供する過程での「無知の知」が新たな学びを加速させます。それはどういうことなのか、見ていきましょう。

4. 「再現性」のある学びこそ価値がある

人に提供して初めて「知恵」になる

第1回の記事にて、“学び” を分野の枠だけで捉えるのではなく、自由に融合させ、新しい発見や価値を見出していくことがリベラルアーツの本質であるとご紹介いたしましたが、はたして “価値ある学び” とは一体なんでしょうか。新しい知識を得ることや、新しい発見をすることだけが価値ある学びなのでしょうか。

価値ある学びとは、学びを自分の中に留めておくのではなく、人に提供する ”知恵” へと転換させることです。そして知恵とは、得られた知識や発見そのものを他人へ渡すのではなく、相手の視点に立ち、相手の行動に影響を与える、再現性のある形で渡すこと。つまり、「ありがとう」と感謝される価値を創造してはじめて、価値ある学びとなるのです。

知恵の交換があるからこそ、新たな価値創造が可能になる

リベラルアーツの考えをもとに多様性を受け入れられる組織では、お互いを尊重しあい、お互いの興味に興味を持てる風土が形成されるため、それぞれが興味の交換だけでなく、知恵の交換も可能になります。

そして何か新しい情報や発見と出会ったときに、「この発見はあの人のためになるかもしれない」といったアンテナに引っかかり、自らの興味と掛け合わせてアウトプットすることにより、受け手は自分ひとりでは知り得なかった新しい視点を持つことが可能になります。

つまり、リベラルアーツの素晴らしさは、自らの可能性を広げるだけでなく、こうした知恵の交換によって受け手自身に多様性をもたらし、価値創造の可能性を広げることができることにもあるのです。

ノウハウを属人化させない、ビジネスにおいて重要な「知恵の交換プロセス」

「知恵の交換」という考え方は、個人単位だけではなく、ビジネスの現場においても極めて重要です。FICCでは、メンバー個人やチームが案件等を通じて学習したことや経験したことを情報として留めるのではなく、他案件や他チームでも取り入れられるよう実用化させることを重要視しています。

そのため、専門性を持ったチーム間の連携がスムーズになることはもちろん、情報を実用化させ、さらにモデル化された再現性のある状態に落とし込むことで、新たな価値を組み合わせ、クライアント企業に対して常に新たな価値創造が可能になります。

ビジネスの現場においては知識やノウハウが属人化してしまうケースも多く見受けられますが、「知恵の交換」という文化のもと、概念を実用化、モデル化させるプロセスを取り入れることで、組織として価値創造の可能性を広げていくことができるのです。

5. 「無知の知」という経験が学びを加速させる

リベラルアーツの学びに終わりはない

人を自由にする学問であるリベラルアーツは、「自分はこういったことにも興味を持てるのだ」と自分自身を再発見することでもあります。それはすなわち、自らの興味の対象を広げていく限り、リベラルアーツの学びに終わりはないことを意味します。

学生時代のイメージもあり、 “学び” に対して苦行のようなイメージを抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、自分自身を再発見する行為は、新しい喜びを知ることです。
そのため、「未来の自分は興味を持っているかもしれない」という可能性を持ち続け、日々触れる情報に対して、自らの興味や未来の可能性を掛け合わせて思考することが重要です。

時間は有限だからこそ、「無知の知」を経験することが重要

学校教育を終えて社会に出ると、多くの時間を “働く” という行為に費やします。終わりがない学びと言えど、時間は有限です。そのため、いかに学びの領域を深めていくかが大切になってきます。

そこで重要なのは、「無知の知」の経験です。「無知の知」、すなわち現時点で自分が知らないことを客観的に、さらに継続的に認識することで、新たな学びが生まれ、学びの喜びを実感することができます。

そして「無知の知」を実感するのは、「知っている」と思っていたことをいざ「実践する」「使ってみる」というタイミングでしょう。得られた情報・知識を、相手の視点に立って価値ある知恵としてアウトプットする、その過程において「無知の知」を経験し、さらに学ぶ── こういったプロセスを繰り返すことが学びを加速させるのです。

実案件だけではない、知恵をアウトプットするためのFICCの取り組みとは

多くの企業で、研修制度やトレーニングプログラムを導入されていることかと存じます。しかし上述の通り、「知っている」のと「使えるようになる」のとは大きく異なります。

FICCにおいてもさまざまなトレーニングプログラムが導入されていますが、FICCでは「自らの興味を掛け合わせること」「学んだことを使えるようにすること」を意識した設計となっております。そして学んだことをアウトプットできる論題設定を行い、さらに実案件でも使えるよう、適切な評価基準を設けて展開しています。

実際にトレーニングプログラムに参加したメンバーは「アウトプットする前提で学ぶのはもちろん、全体戦略を俯瞰してみることができるようになった」「自分の興味を掛け合わせることで、学びの喜びを感じ、これまで以上に主体的に学んでいく姿勢になった」と語ります。

また、FICC自体が常に学びをアップデートしているため、既存のトレーニングプログラムが完成形だと考えず、常にトレーニングプログラム自体もアップデートさせ、継続的に価値ある学びを進化させています。

── 最終回となる第4回は、学ぶ喜びを働く環境で経験することとは何を意味するのか、人生の多くの時間を費やす “働く” ことを通じて、人生をより豊かなものにするにはどうすればよいのか、そのヒントとなるアイデアをご紹介いたします。

学びを再考するための7つのアイデア 全4回

【第1回】働く上で自分の「興味」とどう向き合うべきか。リベラルアーツの視点から考える
【第2回】「ありがとう」を生み出すには相手への理解が重要。人生を豊かにする学びとは
【第3回】知識ではなく、人に提供する知恵こそが「価値ある学び」である
【第4回】変化の激しい現代において「働く」ことを通じて、いかに人生を豊かにするのか

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