【第2回】「ありがとう」を生み出すには相手への理解が重要。人生を豊かにする学びとは

学びを再考するための7つのアイデア

スキルアップのために学ぶ、出世のために資格を取得する── 社会人になっても、なにかを学ぶという機会は多く存在します。しかし、学びを狭義な意味でとらえるのではなく、人生において多くの時間を費やす「働く」環境において “学び” が何を意味するのかを再考してみると、ゴールが見えない時代を生き抜くヒントが見えてくるかもしれません。

“理想の学び” として知られ、世界で活躍するリーダーの多くが経験している「リベラルアーツ」。FICCでは価値創造を軸とする上で、リベラルアーツの考え方を重要視しています。

では、一体リベラルアーツとは一体どういった学びなのでしょうか。第4回にわたり、FICCの実際の取組みや考え方を交え、リベラルアーツの考え方を理解し、「学び」について再考するための7つのアイデアをご紹介する本連載。第2回となる今回は「多様性」「価値創造」というテーマでご紹介いたします。

前回の記事:
【第1回】働く上で自分の「興味」とどう向き合うべきか。リベラルアーツの視点から考える

多様性を受け入れることで、まだ見ぬ「ありがとう」を生み出す価値創造が可能になる

前回の記事では、「人を自由にする」のが学びである、として社会人であっても自身の「興味」に素直になり、そして「興味がある」「興味がない」の2択で思考をするのではなく、「未来の自分は興味を持っているかもしれない」という可能性を持つこと。それこそが自由な思考を持つということである、というアイデアをご紹介いたしました。

では自身の興味に素直になることで、その先にはどういった可能性があるのでしょうか。

2. 「多様性を受け入れる経験」が学びとなる

情報として “知る” のではなく、 “興味の交換” を通じて視野を広げること

自分の興味だけではなく、他者の興味にも興味を持ち、自分の興味と相手の興味を掛け合わせることで、さらに新しい発見や価値を見出していくことが、リベラルアーツの素晴らしさであると森は語ります。

なぜなら、たとえさまざまな情報に触れたとしても、他人の興味との掛け合わせがなければ、個人が知っている世界は限られてしまうからです。しかし、自分の興味と相手の興味を掛け合わせる、すなわち “興味の交換” を通じて、限られた視点から解放され、「自分とは異なる考え方もあるのだ」という気付きから、お互いを尊重し合える関係を築くことができます。

そして社会で生きるひとりの人間として、性別、年代、国籍が異なる多様な価値観や考え方を持った他人を受け入れるということ、多様性を受け入れるということは、 “情報” として相手を知ることではなく、相手のことを尊重し、相手の視点に立って物事を考えることです。
そうした多様性を受け入れる経験自体が、自らの視野と思考の可能性を広げる学びとなるのです。

ネガティブな感情は、新しい価値観と出会ったことを示す「サイン」である

多様性を受け入れるといっても、いざ自分とはまったく異なる考え方と出会ったときに、ネガティブな感情、否定的な感情が生まれてしまうこともあります。それは自分の考え方がすでにあるからこそ生まれる感情であり、仕方がないことです。

しかし、そういったネガティブな感情はある意味、新しい価値観と出会ったことを示す “サイン” でもあります。自分と違った価値観をただ否定するのではなく、その価値観を受け入れることでどういった世界が広がるのか、そこから自分はどう行動するのか、といったマインドを持つことが重要です。

そして「自分には関係ない」と否定せずに、 “1%の可能性” に視点を持つことで、今まで気がつけなかったことに気づける喜びを実感することでしょう。そしてその経験がさらに自らの興味の範囲を広げ、新たな価値を生み出すきっかけとなるのです。

たとえ仕事であっても、「自分の中で多様性を生み出す経験」は人生の糧になる

多様性を受け入れる経験は、日々の生活だけでなく、ビジネスの現場においても非常に重要です。特に消費者の趣味嗜好が多様化し、変化の激しい昨今において、直面しているビジネス課題を解決するためには既存の価値観のみでは対処できないこともあるでしょう。

FICCで行っている様々な取り組みの中の一つに、「AMIDA(アミダ)」という、異なる視点を持つための独自のワークショップがあります。AMIDAでは「マーケティング×心理学」 「マーケティング×教育」など、毎回「マーケティング×〇〇(分野)」という分野と分野を掛け合わせた議題を設定し、あみだくじで議長・お笑い芸人・専門家・女子アナといったロールを決め、ワイドショーさながらにそれぞれのロールになりきった視点でディスカッションを行うワークショップです。

ただディスカッションをするだけでなく、実際にロールの視点に立った詳細なリサーチを行い、ロールならではの専門的な知見を持ってディスカッションを行うため、トレーニングと言えど、そのまま現場での施策に反映されるようなアウトプットや気づきが得られることもあります。

AMIDAに参加したメンバーは「(AMIDAを実施したことにより)掛け合わせる分野について改めて学び、その学びから得られた抽象概念をマーケティングの概念と掛け合わせることで、新しい気づきや発見があり、実際の仕事に応用したらどうなるか考えるとワクワクします。」と語ります。

また別のメンバーは、こう語ります。
「同じテーマをそれぞれのロール視点でディスカッションするので、そういった視点があったのか!という気づきが得られ、また単純に視野が広がるのが楽しかったです。面白くなさそうと思うテーマも、自分の興味と掛け合わせると気づきが得られたりと、自分の中でも多様性が生まれるのを実感しました」

このようにFICCでは、メンバー一人ひとりが新しい視点を持つ経験を通じて、他人との “興味の交換” の価値を実感し、実践する環境があります。そして自らの興味の幅を広げ、多様性を受け入れる喜びを実感したとき、たとえそれが仕事であっても、人生を豊かにする学びが得られることでしょう。

3. 学び続けることで「価値創造」が可能になる

価値創造とは、まだ見ぬ「ありがとう」をつくること

多様性を受け入れるということは、 “情報” として相手を知ることではなく、相手のことを尊重し、相手の視点に立って物事を考えることである、と上述しました。そして、自らの興味の幅を広げ、多様性を受け入れることで、誰かのためになる “価値” を生み出すことが可能になります。なぜなら、価値とは誰かにとって「ありがとう」と感謝されるものであり、「ありがとう」が生まれるためには相手の理解が必要だからです。

つまり、相手の視点に立って物事を考えられるようになったとき、はじめて人は価値を生み出すことができるのです。そのため価値創造とは、まだ見ぬ「ありがとう」をつくることと言い換えることができるでしょう。

そしてリベラルアーツの考え方を取り入れることは、「ありがとう」をつくる価値創造にも繋がります。自らの興味や、他人の興味に対して興味を持つことは、誰かの「ありがとう」の材料の発見となるからです。

人が社会で生きていく上で、「ありがとう」は存在意義である

そもそも「ありがとう」をつくることは重要なのでしょうか。森は、私たちが社会で生きていく上で、「ありがとう」と感謝されることは、自身の存在意義を見出す上で非常に大切なことだと語ります。自分自身の存在意義が見いだせないと、たとえ一見豊かに見える生活をしていても、空虚感を感じてしまうことでしょう。
実際、日々の生活の中で他人から感謝され、「自分が誰かの役に立てている」と実感することで自身の存在意義を感じられた、という経験は誰しもがあるはずです。

また、ビジネスにおいても「ありがとう」と感謝される価値を創造することは重要です。クライアントや消費者は、価値があると感じたものに対して対価を支払います。そして、価値を提供するためには、クライアントや消費者のためになる価値をまず創造しなければなりません。

さらに、価値創造がまだ見ぬ「ありがとう」をつくることであると理解して働くのと、理解せずに働くのとでは、仕事に対する満足度も変わってくるでしょう。目の前の仕事に対して自身の興味を掛け合わせ、クライアントや消費者の視点に立ってアウトプットできたとき、仕事の喜びは人生の喜びとなるはずです。

クライアントが認識していない課題を解決することこそが「価値創造」である

FICCでは、相手が認識している課題を解決することだけが価値ではなく、相手が認識していない、気づいていない課題をも解決することが価値であると考えています。こうした考え方は、実際のクライアントワークを行う際、現場の働き方にも反映されています。あるプロジェクトのプロデューサーはこう語ります。
「施策が終わったあとになって、 “これもできたよね” と後悔したくないですし、クライアントに対して不義理だと感じます。だからこそ、しっかりとクライアントの課題解決ができる提案を常にすべきだと思いますし、それで感謝してもらえたときは、純粋に嬉しいですよね」

そしてFICCではメンバーがリベラルアーツの考え方を理解しているからこそ、クライアントのために自分たちには何ができるのかを常に追い求め、メンバーそれぞれの興味を起点とした学びを掛け合わせた新たな価値、すなわちまだ見ぬクライアントからの「ありがとう」を生み出す風土を大切にしています。

ポジション関係なくチームメンバーそれぞれがクライアントに対して価値提供を行う視点を持ち、さらにチームとして集まることで「クライアントやブランドにとって本当に価値あるものは何なのかを、学際的に考え抜く」というマインドセットが形成されています。

その結果、クライアントとの窓口に立っていないプロジェクトメンバーへも感謝の意を示してくださるクライアントに恵まれ、メンバー一人ひとりが喜びを感じながら働くことができているのだと感じています。
こうした「ありがとう」を生み出す経験が、さらなる学びを加速させ、そして興味の幅が広がれば広がるほど、クライアントへ提供できる新たな価値が創造できるのです。

── 第3回は、「知恵のアウトプット」というテーマでご紹介いたします。

学びを再考するための7つのアイデア 全4回

【第1回】働く上で自分の「興味」とどう向き合うべきか。リベラルアーツの視点から考える
【第2回】「ありがとう」を生み出すには相手への理解が重要。人生を豊かにする学びとは
【第3回】知識ではなく、人に提供する知恵こそが「価値ある学び」である
【第4回】変化の激しい現代において「働く」ことを通じて、いかに人生を豊かにするのか

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