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デジタルマーケティングのタッチポイント設計

荻野 英希 /

デジタルマーケティングにおけるタッチポイントはターゲットに「リーチする」だけでなく、「データを収集する」役割を持ちます。ユーザーの行動からは、広告のターゲティングやクリエイティブの効果をリアルタイムで知ることができ、短期間でのパフォーマンスの改善が可能となります。これが「データは新しい石油」と言われ、多くの広告主が「ビッグデータ」という言葉に注目する理由です。しかし、価値あるデータを得るためには、戦略的にユーザーとの接点を作り、その行動を促すタッチポイントの設計が不可欠です。

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タッチポイントは単なるユーザーとの接点ではなく、貴重なデータの収集源です。得られるデータはそれぞれのタッチポイントでのユーザーの行動によって異なります。購入意向のあるユーザーのデータ、購入者のデータ、クチコミをしてくれる人のデータなど、様々なマーケティング活動に役立つデータはどのタッチポイントから、どのようなユーザーの行動から得ることができるのでしょうか?

Webサイトなどのオウンドメディアからは、アクセス解析などに使われる統計的なデータだけでなく、特定のユーザーへピンポイントなコミュニケーションを可能にするクッキーのデータを得ることができます。例えば、商品のスペックや、価格、購入場所など、購入意向を示すコンテンツの閲覧からは、高い確率でプロモーションに反応するユーザーを抽出することができます。今ではページ遷移だけでなく、クリック、マウスオーバー、スクロール深度など、より細かい行動からもユーザーを抽出することが可能ですが、未だ多くのリマーケティング施策は単に「サイトを訪問した」というデータを基に行われているのが現状です。Webサイトは、戦略的にユーザーの行動を喚起し、ターゲットユーザーを抽出するために活用されるべきです。

行動を喚起することさえできれば、Webページ、メールマガジン、 Facebookやアンケートなど、様々なタッチポイントからターゲットユーザーを抽出することができます。コールトゥアクションとなるボタン、件名、投稿文、質問などを工夫することで、購入意向の高いユーザーだけでなく、特定のニーズを持ったユーザーや、ロイヤルティの高いユーザーなど、マーケティング目的に適したターゲットを抽出することができます。また、抽出されたターゲットのセグメント毎にコミュニケーションを行い、その反応を測定することで、特定のターゲットに効果的なコミュニケーションを割り出すことができます。

貴重なデータの収集源はオンラインだけではありません。製品パッケージが接触するユーザーは全て購入者であり、再購入の見込があると考えられます。簡単に参加でき、インセンティブが魅力的なキャンペーンの情報を製品パッケージに掲載することができれば、多くの購入者のデータの獲得と、リピート購入を促すマーケティングが可能になります。

デジタルマーケティングのタッチポイント設計には大きく3つのステップがあります。まずは、できるだけ多くのユーザーと接触するために、複数のタッチポイントからトラフィックを獲得します。次に、各タッチポイントにコールトゥアクションを設置し、ターゲットユーザーを抽出します。最後に、ターゲットユーザーに再度接触し、購入、リピート購入、又はクチコミへと誘導します。

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1. 複数タッチポイントからのトラフィック獲得

デジタルマーケティングの効果を最大化するためには、コミュニケーションの継続的なテストが不可欠です。そのため、直接的なコストがかからないオウンドメディアや、アーンドメディアからのトラフィックは戦略上とても重要となります。Webサイトのオーガニック検索、メールマガジンの登録者、Facebookページのファン、製品パッケージや店頭など、広告に頼らずユーザーに接触できるタッチポイントを優先し、トラフィック獲得のプランニングを行いましょう。

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2. ターゲットユーザーを抽出するコールトゥアクション

タッチポイントで接触するユーザーの全てがターゲットであるとは限りません。特に大規模なキャンペーンを実施している場合は、様々なユーザーの流入によって、トラフィックの質が低下します。そのため、それぞれのタッチポイントでは、特定のユーザーのみの行動を喚起し、ターゲットの抽出を可能にするコールトゥアクションが必要となります。抽出されたターゲットユーザーのセグメントには、オンラインの購入など、再度何らかの行動を喚起し、購入意向の高さなどからその質を計測しましょう。データベースのボリュームだけが重視されないように、KPIを設定し、得られたデータからコールトゥアクションの改善を行います。

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3. 購入、リピート購入、クチコミへの誘導

最後にタッチポイントの設計で最も重要なポイントが、実際の売り場への誘導と、購買行動の刺激です。オンラインの購入であれば、リアルタイムなデータから継続的な改善を行うことができますが、オフラインの場合はユーザーの物理的な訪問が必要となり、効果の測定も難しくなります。施策と効果の因果関係が特定できるよう、可能な限り短い間隔で売上データを取得し、施策が重複しないよう調整しましょう。

ユーザーが日常的に訪問するスーパー、コンビニや、ドラッグストアなどの場合はクーポンなどで積極的に店舗へと誘導する必要はありませんが、レシピ、ハウツー、商品購入後に参加できるキャンペーンの情報など、購入意思を左右することができる情報を適切なタイミングで配信する必要があります。日常的な訪問が期待できないその他の店舗や外食店などの場合は、クーポンや、特定サービスのオンラインサインアップなどを通じて来店を促し、店頭で購入率を高めるためのプロモーションを用意しましょう。

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購入者のデータはユーザーから得られるデータの中で最も価値があります。新規顧客に比べ、購入者からは比較的簡単にリピート購入を獲得できるだけでなく、ビジネスの成長には欠かせないポジティブなクチコミを獲得することができます。パッケージや店頭など、購入者への再接触を可能にするタッチポイントの活用は、新規顧客を重視する戦略では軽視され、シリアル番号の印刷や売り場の交渉など、生産や流通との複雑な調整を求められることから敬遠されます。しかし、特定のユーザーにリーチし続けられるデジタルマーケティングにおいては費用対効果を最も大きく改善するポイントでもあります。タッチポイントの設計には必ず、購入者との接点を含めましょう。

タッチポイント設計の目的は、購入意向やロイヤルティの高いユーザーとの接点を作り、ターゲティングやクリエイティブを最適化するためのデータを得ることです。得られたデータはデジタルだけでなく、店頭やマスメディアでのコミュニケーションの改善にも役立ちます。様々なターゲットに向けて、無数のクリエイティブを短い期間でテストすることができるデジタルマーケティングにおいて、広告主が重視すべきポイントは従来のマーケティングとは大きく異なります。データを得るための戦略的なタッチポイント設計こそが、今最も広告主が注目すべきノウハウではないでしょうか。