そのブランドにしかない強みと価値は必ずある。専門知識でクライアントを支えて共に見つけだすマーケティングコンサルタント

「ブランドには、そのブランドにしかない独自資源が必ずあります。それは、ブランドの『強み』であり、生活者にとって『価値』となるものです。専門知識と俯瞰的な視点から、クライアントの独自資源を見つけて、価値を届けるための戦略を描いていくこと。それが私の役割です」

FICCのメディア・プロモーション事業部で、マーケティングコンサルタントをしている中崎彩はそう語ります。

2020年にFICCにジョインするまでのキャリアを振り返りながら、携わる業務や指針にある考え方について、FICCでの「今」を聞きました。

身近だった広告業界でのキャリアスタート

コピーライターをしている父の背中を見て、自然と広告業界を目指すようになりました。私が大学を卒業した年は、これからデジタルメディアがくると言われていた時代で、父のアドバイスもあり広告代理店のDAC株式会社に新卒入社しました。その時はまだ代理店側のデジタルの知識が少ない中で、メディアレップと呼ばれる媒体社と広告会社の仲介を行う業務を行っていたDACには、最新の情報が集まっていたんです。

中小代理店の営業を3年経験した後に、株式会社ジェイアール東日本企画へデジタルプランナー兼業務推進として出向しました。クライアントと直接会って提案する機会が増えて、デジタルだけでなくオフラインを含めた提案を求められることが多くなりました。全体のIMC(総合型マーケティングコミュニケーション)を描けるようにならないといけないと思い、当時デジタルを起点にイベントや雑誌のプロモーションをやっていた株式会社MERYに転職をしました。直後にサービスが停止してしまったのですが、復活が決まり新MERYの立ち上げメンバーとして残りました。

そこで、あるクライアントと一緒に仕事をしていて感じたことが、今も自身の大切な考えとなっています。それは、マーケティングを担当されていたその方が大切にしてた「売上を上げるマーケティングだけではなく『ブランドの意味を作るブランディング』も大切」という考えでした。定期的にブランドの課題をお伺いするなかで、もっとクライアントの役に立てるようになるために、専門知識をつけて、より上流の戦略から価値提供できるようになりたいと思い、当時ブランドマーケティングに取り組み始めていたFICCへ2020年に入社しました。

大切なのは、クライアントのことをクライアント以上に知ること

私がいち生活者として感じることですが、普段何か欲しいときに困ることってないですよね?なんでも手に入るし、どのブランドの商品やサービスを使っても機能は優れているから、大きな差を感じることはほぼないと思うんです。それをクライアントのビジネスに置き換えてみると、自社の商品やサービスを選んでもらうのが本当に大変なのが大前提の時代。だからこそ「ブランドマーケティング」が必要だと思っています。

今までマーケティングは、ターゲットで市場をセグメントして、空いている市場で競合がやっていない機能を差別化して伝えていこうというもの。でも、そうではなくて。自社の商品やサービスを生み出す背景には、機能だけではない創業者の想いやブランドの歴史があります。その「哲学」から生まれたものには、絶対にそのブランドだからこその独自資源があると思っています。それを生活者にとっての価値に捉え直し、その価値を感じてもらえる人の心に届く一貫性のあるコミュニケーションをしていくことで、はじめてブランドの中に「意味」を残していくことができるのがブランドマーケティングなのです。

クライアント側にいると、もちろん自分たちのサービスがいいと思っているので、やっぱり主観的な視点になってしまうと思うんです。私は、支援する立場として俯瞰的な視点を持ちつつ、社会や生活者、競合の状況も踏まえながら、ブランドの過去から未来へと立体的に知っていくことを意識しています。そのブランドにしかない資源が必ずあると思っているので、それを信じて支援していくと、クライアントが自社の強みを自覚して前向きな考えや行動へと変わっていくんですね。その姿を見るのがとても嬉しくて。この立場にいるからこそ「クライアントのことをクライアント以上に知る」ことが一番大切だと思っています。

マーケティングの領域を構造で整理して、自分の得意を自覚した

私が仕事で携わるのはマーケティング戦略です。ただ、戦略と言えどたくさんあって、全部マーケティングだから……となってしまいますよね?

入社後から、代表の啓子さんと一緒にプロジェクトをやっていたのですが、最初は啓子さんが何を言っているのか理解できなかったですし、頭の回転も早くて。ついていくことに本当に必死でした。その時に「そのマーケティングの領域は、何のためにあって、どこに繋がるのか?」という視点で、自分なりにマーケティングの全体像を整理したんです。そうしたら、啓子さんが今どこの話をしているのかわかるようになり、訳がわからなくなることが少なくなりました。社外の方にも「私はここの領域をやっているんだ」と見せてみると、すんなり理解してもらえたんです。構造で整理すると、人の理解が進むというのは学びでしたね。

仕事で担っているのは「クライアントリレーション」「プロジェクト設計&リード」「ストラテジックプランニング」です。領域は「ブランド戦略・マーケティング戦略・コミュニケーション戦略(※図を参照)」の3つを担当しています。ここは、本人の経験や希望によって変わるので、全てを担う人、プランナーだけ担う人と様々です。

中崎が作成した図

FICCには、主にブランド戦略を専門領域としている「BXクリエイティブ事業部」があります。そして、マーケティング活動の全体設計図となるパーセプションフロー®・モデルをはじめとした独自のフレームワークがあります。だからこそ、ブランディングとマーケティングを分断しない戦略ができるのです。

私が2021年から携わっている生活用品メーカーのプロジェクトでは、メーカー内の複数のブランドを担当しています。このプロジェクトは、2021年末にコミュニケーション戦略までを納品して、2022年は聖子さんを筆頭としたプロモーション設計チームにプロモーションの戦略立案・実行をお願いしています。そして、その結果を踏まえて、描いた戦略が効果的であったかを検証するために、プロモーション設計チームと連携しながら私の方で調査設計を進めている段階です。

アサイン当初は、メンバーが少なく未経験で知識のない領域だったので、短期間でのアウトプットと同時にインプットもしなければなりませんでした。啓子さんや先輩に長時間の壁打ちをお願いして、がむしゃらに学んでいった思い出があります。

私が携わっているブランドマーケティングの領域は、上流にある経営戦略の実行戦略であり、プロモーションの効果を最大化させるための戦略でもあるんです。経営戦略の全てを理解する必要はないけど、経営を見据えたブランドマーケティング戦略を考えることが求められているからこそ、経営者である啓子さんや会長の英希さんに相談できる環境があるのがFICCのいいところです。また、プロモーションで伝える具体的な価値から逆算して戦略を考えていく時には、プロモーション設計チームに相談したりしています。各領域に精通しているメンバーが社内にいるので、すぐに相談できるのはありがたいなと思います。

論理的な思考だけでなく、自分の感情に向き合うバランスが大切

マーケティングコンサルタントをしていると、クライアントを含めたプロジェクトメンバー全員に「納得」をしてもらわなければならない場面がたくさんあります。そういう意味で、このポジションには一定の、合理的かつ論理的な思考が求められます。ただ、これは訓練すれば後から身についてくるものです。私も元々はまったく論理的なタイプではなくて(笑)。前職で先輩から「マクロからミクロへと全体像を把握することで、クライアントの課題の『なぜ』が分かる」と言われて、徹底的に叩き込まれました。それよりも、普段から好きなことで自分の心が動く体験を大切にする。それが、人の心を動かす仕事をしているからこそ大事だとも最近思っているんです。

FICCに入るまでは、スパークジョイのように好きなことに向き合うことが苦手でした。でも、自分の生活を振り返って、時間やお金を使っていることってなんだろうと考えた時に、テレビドラマを観ることやお笑いが好きということに気付きました。映画ではなくてドラマが好きなんですよ。映画は数時間でひとつのストーリーを作るけど、ドラマは複数話を通してひとつのストーリーを作るじゃないですか?だからドラマは、日常生活の何気ないできごとを切り取って、少しずつ人が成長したり、人間関係が変わっていくのを現実的に描いている作品も多いんですよね。時間をかけて全話見終わったときに「このドラマで伝えたかったことは何か?」と振り返り「こんな意味を伝えたかったのかな」と自分なりに解釈してます。

それが自分の思考の癖になっているのか、ブランドの分析をするときにブランドの過去から未来をストーリーで捉えていたり、プレゼンする時も、ひとつのストーリーのように伝えていくのが好きだなと気づきました。心が動いていることが、自分の仕事に活かされていたんです。職業柄、論理的に無駄なくやっていくことを求められる一方で、感情的な部分も持ち合わせる、そのバランスが大切だと思います。

人に対してはもちろん、仕事に対しても誠実な人と一緒に働きたいですね。専門知識を扱ってデータ分析をしていくなかで、少しでもわからなかったり違和感を感じた時に、放置しないで自分が理解するまで調べるなり、人に聞くことを遠慮せずにやってほしいなと。それが絶対にクライアントの信頼獲得に繋がると思っています。そもそも、FICCのブランドマーケティングは難易度の高いことをやっているからこそ、わからないことをわからないまま話すと信頼も得られません。私自身も、社内のメンバーに相談をすることがまだまだ多いです。未経験でも、学ぶことが好きな人が向いているポジションだと思います。

今とこれから、目指す未来に向かってブランドを支援する

今は、携わっている領域を学びながら実績を積んでキャリアを形成していきたいです。今まで言ってきたように、ブランドには、そのブランドにしかない独自資源があり、それがブランドの強みになります。その強みを活かして、持続的にビジネスが成長できるように支援をしていきたいです。ゴールは、ブランディングとマーケティングの両立を実現しているブランドを増やすこと。そうすれば、生活者が自分の価値観にあったブランドに出逢い、好きなものやことが増えていく世界にきっとなる、そう思っています。

執筆:深澤 枝里子(FICC) / 撮影:後藤 真一郎

※「パーセプションフロー®・モデル」はCoup Marketing Company代表 音部大輔氏考案のマーケティングのマネジメントモデルです。引用の際は、上記クレジットの掲載をお願いします。

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