
2026年2月、テクノツールとテクノベースが開催した全社会議「みんなでつくってくの会議(みんつく2026)」に、FICC代表の森 啓子がトークセッションのゲストとして参加しました。また、FICCのコミュニティデザイナーである村中も、午後のミニセッションのファシリテーターとして参加しました。
「みんつく」は、肢体不自由の方々に向けてアシスティブ・テクノロジーを開発・提供する「テクノツール」と、テクノツールから生まれた就労継続支援B型事業所「テクノベース」の歩みを振り返りながら、社員や関係者、ゲストとともにこれからの可能性を考える場です。今回は、社員やOBに加え、福祉業界の外側からテクノツール・テクノベースに深く関わる企業やパートナーも参加しました。
そこには、外部の人たちがテクノツール・テクノベースの事業や「障害」というテーマにどのような可能性を感じているのかを、全員で共有したいという想いがありました。
FICCはこれまで、ブランドのパーパスから市場と事業を創る研修プログラム「JUMPMASTER」を通じて、テクノツールの可能性の可視化と新規事業創出に向けた支援をしてきました。ワークショップなどを通じて、社内にある想いや可能性を言語化するプロセスをご一緒し、現在はコミュニティ型シンクタンクの立ち上げもともに進めています。
今回の参加を通じて見えてきたのは、テクノツール・テクノベースが大切にしている、一人ひとりの経験や視点に価値を見出す姿勢でした。
想いをともにする人たちが集まる、みんつくという場

プログラムの冒頭では、テクノツールの歴史を振り返るオープニングムービーと、創業者である島田努氏の挨拶がありました。創業者から受け継がれてきた想い、現在の代表である島田真太郎氏が描くこれからの構想、社員やメンバー一人ひとりの日々の実践、そして外部パートナーとの共創。それらが重なり合うことで、「みんなで未来をつくる」という場の意味が感じられる時間でした。
当日のプログラムでは、社員やメンバーの挑戦にスポットライトを当てる発表や対話の場も数多く設けられていました。日々の仕事の中で感じていること、自分たちの仕事が誰のどんな変化につながっているのか、一人ひとりがどのような想いで目の前の仕事に向き合っているのかが語られる時間を通じて、テクノツールやテクノベースが一人ひとりの可能性や挑戦を大切にしていることが伝わってきました。
FICCがこれまでご一緒してきたからこそ、テクノツールの魅力は、プロダクトや技術だけでは語り切れないものだと感じています。一人ひとりの経験や視点に価値を見出し、その可能性を社会にひらいていく姿勢そのものが、テクノツールやテクノベースの大きな価値であり、これからの新しい事業や共創の土壌になっています。
「福祉」を超えて、人の可能性を社会につなぐ

ゲストトークセッションでは、テクノツール代表の島田真太郎氏、人生は上々だ代表の村上モリロウ氏、FICC代表の森が登壇し、ONE SWORD代表 / テクノツールCMOの安部謙太郎氏がファシリテーターを務めました。
安部氏の進行のもと、対話の中心にあったのは、社会の中で当たり前とされている枠組みをどう問い直すかという視点でした。
村上氏は、デザイナーとして「その人が何に秀でているか、自分にはない才能を持っているか」に関心があると語りました。障害の有無や支援する・されるという関係性ではなく、一人ひとりが持つ視点や感性、経験そのものに価値を見出す。既存の「福祉」や「支援」といった枠組みにとらわれず、誰もが自然に楽しめる場や仕組みをつくることの重要性が、村上氏の言葉から伝わってきました。
島田氏からは、テクノツールやテクノベースの現場で生まれている具体的なエピソードが紹介されました。例えば、手で操作することを前提に作られたドローンを、頬や顎を使って操作する。作り手が想定していなかった使われ方の中に、新しいテクノロジーやサービスのヒントがあるという話です。

そうしたエピソードに対して、安部氏は「福祉」という言葉の中に閉じ込めておくにはもったいないものがあると語りました。現場で生まれている一人ひとりの経験や、そこから見えてくる視点は、支援の文脈だけで語られるものではなく、社会や企業が新しい可能性に気づくきっかけにもなり得ます。
森は、FICCが大切にしているリベラルアーツの考え方にも触れながら、思考を自由にし、新たな問いを立てることが価値創造の出発点になると話しました。既成概念を疑い、異なる視点に触れることで、これまで見えていなかった可能性が立ち現れてくる。テクノツールとの取り組みを通じて感じた魅力も、まさにその点にあるとして、森はテクノツールやテクノベースの可能性を6つの視点から整理しました。そこには、多様な視点による対話、偶発性を楽しむ価値観、一人ひとりの物語、多様な社会のあり方へのアクセスなど、社会にひらいていける可能性が込められています。


さらに森は、「みなさんの日常の物語が、実は社会をアップデートする大きな力になる」と話しました。テクノツールやテクノベースの皆さんが持つ経験や知恵は、社会課題の当事者の経験としてだけでなく、新しい価値やイノベーションを生み出す源泉になり得るという視点です。多くの大企業が「自分たちの事業は何のためにあるのか」と問い直す中で、社会や企業が無意識に囚われている常識に気づくきっかけになる。そうした意味で、森はテクノツール・テクノベースが将来的に社会的な「シンクタンク」のような存在になり得るとも語りました。
こうした話を受けて、島田氏は、自分たちが持っている知見をどう社会の資産として開いていくかについて触れました。環境によって障害が生まれる当事者の方々の大切な経験や視点を、支援や福祉の文脈だけに閉じるのではなく、より大きな社会全体のテーマとして捉え直していく。そして、社会への価値を創造していく企業や人々にとっての知見としても開いていく。そうした可能性について、FICCとテクノツール・テクノベース、それぞれの立場から対話が交わされました。
島田氏は、自分たちだけでは届かない場所にこの熱量を届けていくためにも、FICCのようなブランドマーケティングの専門家と組むことの意味にも触れました。現場で育んできた知見や想いを、どのように社会へひらき、新しい価値循環へとつなげていくのか。その未来は、登壇者だけで描いていくものではなく、「みんつく」に集まった社員やメンバー、外部パートナーもまた、同じ想いを持ち寄りながら、これからの社会をともにつくっていく当事者として参加していることが伝わってきました。
みんつくから始まる、新しい共創へ

「みんつく」で感じられた、人の可能性を社会にひらいていく力は、すでにFICCとテクノツールの次の共創へとつながり始めています。
FICCは、ブランドが社会に新しい価値を生み出していくためには、企業だけのパーパスではなく、関わる人々や社会と共有できるパーパス、すなわち「Shared Purpose」が重要だと考えています。人の可能性を起点に、新しい事業や社会のあり方を構想していくことは、テクノツール・テクノベースが目指している未来であり、FICCがブランドマーケティングを通じて実現したい社会とも重なっています。

現在、FICCはテクノツール・テクノベースとともに、当事者の経験や視点を社会にひらいていくコミュニティ型シンクタンクの立ち上げを進めています。この取り組みは、両者だけで完結するものではありません。「みんつく」という場がそうであったように、想いをともにし、共感する企業や人々とともに育てていくものです。
クライアントと支援会社という関係を超え、ともに未来を構想するパートナーとして。FICCはこれからも、テクノツール・テクノベースとの共創を通じて、人の可能性が社会にひらかれていく未来をつくっていきます。
FICCでは、こうした想いに共感し、企業やブランドの活動を通じて新しい社会の可能性をともに創造していくパートナーを広げていきたいと考えています。テクノツール・テクノベースとの取り組みにご関心をお持ちの企業の皆さまは、ぜひお声がけください。
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