共創を通じて人と社会の可能性を広げる。FICCとモーンガータの共創事業「COLOR Again」が目指す未来

FICCは、「廃棄コスメの100%活用」を掲げる株式会社モーンガータとともに、共創プロジェクト「『COLOR Again』〜色を取り戻そう〜」をスタートしました。このプロジェクトは、コスメのアップサイクルにとどまらず、社会に存在する同調圧力や既成概念に疑問を投げかけ、社会の多様性や人の可能性を認められる世界の実現を目指しています。今回は、共創プロジェクトが目指す未来についてお伝えします。

コスメ業界の抱えるジレンマ

昨今、企業のあるべき姿が急速に変化しています。多くの企業にとって、環境問題や社会課題に対して何らかのアクションを行うことが求められ、どの企業にも社会に対する責任が問われるようになりました。企業が社会に対しての責任を遂行し続けるためには、社会的活動を従来のようなCSR(社会的責任)の範疇で完結させるのではなく、企業の経済成長に繋がるような取り組みを実現することが重要です。

また、コスメ業界においては、生活者に新しい体験や価値を提供し、業界を活性化させるためにも新商品の定期的なリリースは欠かせません。一方で、売れ残りやシーズンオフによるコスメ廃棄は避けては通れない問題です。生活者が新しいコスメを楽しむこと自体は悪ではなく、素晴らしいことです。だからこそ、それを存続させるためには企業単位ではなく、社会という大きな共同体の中でバリューチェーンを捉えることが、コスメ業界のジレンマを解消する鍵になることでしょう。

同時に、メイクと社会の関係においては「女性はメイクをしなくてはならない」「こうあるべき」といった昔ながらの価値観・女性像が多く存在しています。世の中にまん延する同調圧力や既成概念、またそう思い込んでいる私たち自身の固定観念を手放しきれず、自由な自己表現や多様性が実現しにくい現状があります。

個人の想いから繋がったモーンガータとの出会い

出会いとなった記事に掲載されていた「magic water」を使って描かれている作品

今回のプロジェクトは、FICCのメンバーである伊藤 真愛美の個人的な関心からスタートしました。伊藤は入社時からコスメ企業を担当しており、コスメが人に与える可能性を信じる女性の一人です。一方で、使い切れなかったコスメを廃棄する現実に一生活者としての罪悪感を感じていました。

そんな中、SDGsを捉えて企業が新たな価値を創造するための共創の場で向き合った問い「当たり前の状況に疑問を持つこと」から、コスメの廃棄問題について考え始めました。「コスメはなぜ余ってしまうのか?」「なぜ次々と新作が出るのか?」、さらに「単にコスメを回収するだけのアクションは正しいのか?」など様々な視点から自問する中で、コスメを色材に変える「magic water」という液体を開発していた株式会社モーンガータ(以下、モーンガータ)の取り組みをメディアで知り、「この活動が、自身の考える問題解決の糸口になるかもしれない」と考えました。

伊藤にとってモーンガータの取り組みは、廃棄問題を解決し生活者にもメリットが還元される、理想の循環サイクルでした。使わなくなった化粧品の色材へのアップサイクルに取り組み、持続可能な社会の実現を目指す。そのアクションに共感し、モーンガータ代表の田中 寿典氏にすぐにコンタクトを取りました。

想いに共感し、共創プロジェクトへと発展

FICCでは、メンバーの純粋な想いや探究心を大切にしています。なぜなら、社会に新たな問いを立てるのはAIやテクノロジーではなく、人であると信じているからです。メンバーの想いをFICCのビジョンと掛け合わせて「価値」に変えていくためにどうしたらいいか?それを探究し続けるのが企業としてのミッションです。

また、クライアントやパートナー企業との共創においても、人の想いと企業のビジョンが重なり共鳴し合う部分を大切にしています。互いの資源を持ち寄って掛け合わせることで、新しい社会価値を創造できると信じています。

モーンガータとの共創においては単なるコスメのアップサイクルではなく、人が共有し合える「楽しみ」を体験として提供し体験を通じて社会貢献を実現する、という同社のビジョンに強く共感しました。「『COLOR Again』〜色を取り戻そう〜」というプロジェクト名には、この事業が外面的な装いだけでなく、内面的な彩りをもたらし一人ひとりがすでに持っている可能性を取り戻そうという想いが込められています。

「コスメを色材に変える」というイノベーティブな技術を通じて、社会価値と経済価値の両立ができれば、世の中から信じられ共感されるビジョンになるでしょう。FICCとモーンガータとの共創によってその構想を描き・実現することで、より良い社会・未来へと導くパートナーになれると確信し共創プロジェクトへと発展しました。

なぜFICCは共創事業に取り組むのか?

FICCは、自社のパーパス(存在意義)を実現するため、クライアントやパートナーをエンパワーし、一緒にビジョンを実現していくための「知識」と「ストーリーテリング」を大切にしています。また、人を自由にし人の可能性を信じる「リベラルアーツ」の哲学を持って、関わるすべての人の想いや学びをクロスさせ、自由な思考によって未来に繋がるイノベーションを起こすことを目指しています。

今回のプロジェクトでは、FICCのブランドマーケティングにおける専門知識や、リベラルアーツを体現した共創のノウハウを、モーンガータの想いや取り組みと掛け合わせることで、1社だけでは実現できない、社会への価値創造を実現していきます。

企業と生活者、それぞれの想いが分断されている状態では社会的意義による市場は創造されず、多くの社会課題を解決することは難しいでしょう。それは、コスメ業界においても例外ではありません。廃棄コスメの問題においても企業と生活者が分断されることなく、社会に対して同じ想いを持ち、共創し合うことができる世界を創造していくことが重要です。

FICCは企業やブランドの社会的意義が生活者から求められる市場を創造するブランドマーケティングが重要であると考え、これまで多くの企業やブランドを支援してきました。今回の共創事業においても両者を分断させることなく、理想の社会に向けて構想を描き導くことができると考えています。

人の想いを起点に価値を創造するリベラルアーツの哲学があるからこそ、ストーリーが生まれ、そのストーリーテリングによって共感され人が集まり市場が創造される。モーンガータの持つ資源とFICCの「知識」を持ち寄り、関わる全ての人の共創から生まれる「ストーリーテリング」によってモーンガータの想いを形にし、同時にFICCのビジョンも推進することができるのです。

プロジェクトが大切にしている価値観や共創のあり方

プロジェクトをリードするのは、モーンガータ代表・田中 寿典氏に加えて、本プロジェクトの発起人であるFICCメディア・プロモーション事業部の伊藤 真愛美、マーケティングナレッジ開発事業部の土屋 有未、代表の森 啓子の計4名です。

左から、田中 寿典氏、伊藤 真愛美、土屋 有未、森 啓子。アイコンは、それぞれが関心の高いSDGsの目標

社会に対して問いを立て、これまでにないビジョンを描き新たな市場を創造するには、人の想いを起点に世界を創造する「アート」と、共同体の共通言語である「ロジック」の両方の視点が必要です。このプロジェクトでは、行動指針でもある「社会・企業・個人の当たり前や枠にとらわれず、未来の価値創造について考え行動する」ことを大切に、自分たちの目指す理想の未来を実現すべく、「アート」と「ロジック」の両面からディスカッションを行なっています。

企業や事業部などの枠を超えて個々の視点を持ち寄り、社会に対する想いを出し合った上で一人ひとりの想いをつなげ、企業や共同体との共創に繋がるまでプロジェクトを成長させることができれば、企業の枠を超えてビジョンを共有にする真の共創が実現できると信じています。

プロジェクトの今後の取り組み

すでに、このプロジェクトを通じて多くの人や企業との出会いが始まっています。はじめは「廃棄コスメのアップサイクル」という視点で興味を持たれることが多いのですが、COLOR Againの想いやビジョンに共感してプロジェクトに参画いただいています。COLOR Againが見つめるのは、「あらゆるモノや人の可能性や多様性が尊重し合える世界」です。そのビジョンを実現するためにも、プロジェクトに共感いただける人と一人でも多く出会い、既存の枠組を超えた共創の場から生まれる新しい事例を創出していきたいと考えます。同時にこのプロジェクトが、社会的価値を創造する共創活動のロールモデルとなるよう、これから出会う人たちと一緒に育んでいきたいと願っています。

執筆:兼田美穂(株式会社そこそこ社)