未来を担う若者をエンパワーメント。学びを提供するFICCの取り組みをレポート

去る2021年6月、広告・マーケティング業界を目指す学生に向けて、FICC会長の荻野 英希が講義を行いました。本講義の開催は、世界最大級のマーケティングとコミュニケーションの祭典を開催する、Advertising Week Asia(アドバタイジング・ウィーク・アジア)事務局よりお声掛けいただいたことがきっかけでした。そして私たちFICCは、広告業界をエンパワーメントするべく未来のマーケターである学生たちに向けて実践的なスキルを伝えたいと考え、この学びの場が実現しました。

学びを求める学生たちに向けて

オンラインで実施された本講義は、二日間に渡って開催されました。参加したのは、将来マーケティングの仕事を志し、これから社会で活躍するために積極的に知識を得たいと考えている大学1〜4年生。就職活動で自分を売り込むときや人に物事を伝えるとき、FICCが持つ専門的な知見は社会人だけでなく学生にとっても大いに役立つものだと私たちは考えています。一日目の『提案書の書き方』では、“何”を伝えれば人の心は動くのか、二日目の『ストーリーテリングの魔術』では、“どうやって”伝えれば人の心は動くのかを、FICC会長の荻野が学生たちへ伝えました。

一日目:説得する力「提案書の書き方」

仕事を進めるために欠かせないビジネスドキュメントである「提案書」。相手の説得を必要とする場面は仕事のいたるところで発生します。だからこそ、説得力のある提案書を書くことができる人は、組織の中でその能力を発揮できるようになります。

広告に携わる仕事をしている人の仕事は“説得”だと荻野は言います。説得は交渉と違って、客観的な情報提供を通じて自らの意思で行動を変えてもらうこと。ある特定の順番で情報を伝えると人は説得されてしまいます。それほど情報を伝える順番が重要なのです。「将来自分が望むような仕事ができるよう、自分本位でなく相手が承認しやすい提案書の書き方をぜひ覚えて欲しいと思います。そして仕事だけでなく学校でも、説得力のある提案書をつくることを心掛けてください」と荻野は学生たちに伝えました。

講義の終盤、コロナ禍でのコミュニケーションに悩む学生からは「オンラインでプレゼンをする際に必要な心掛けを知りたい」と質問が投げられました。その質問に対して、荻野は自身の経験を交えながら「一番重視しているのは“資料の完成度”です」と答えました。オンラインではPCの小さな画面で伝えなければならないからこそ、ロジックと情報の整理が重要です。そして「話に注目させる工夫」も大切だと言います。聞き手の集中力が途切れてしまうタイミングで、意図的に小咄を入れたりあえて資料に載っていないことを話すことで、再度プレゼンへの注目を促すことが可能となります。

学生たちは終始頷きながら荻野の話に聞き入っている様子でした。そして講義終了後にはたくさんの感想の声をいただきました。「提案書を書く機会は多いものの、今まで実際のどのように書きべきかを教わる機会がなかったため、非常に参考になりました」、「自分にとって大きな気づきとなりました。必ず活かしたいと思います」と、仕事でなく学校生活でもすぐに実践できる知見であったことが分かります。

二日目:大切なのはストーリー「ストーリーテリングの魔術」

コミュニケーションに関わる仕事をしていれば、ストーリーテリングは必ず習得しなければならないスキルの一つです。ストーリーテリングを理解できているか理解できていないかで、仕事の成功には大きな差が出ます。ストーリーテリングを使いこなせば、人は「伝えられた」という認識でなく、自分が「思いついた」こととして認識し無条件で受け入れてしまいます。まさに“魔術”と呼べるものなのです。そしてこの魔術は、広告をつくる際に非常に有効です。FICCでもこの手法を使用して、消費者へ気づきを与え行動を促すマーケティングコミュニケーション設計を行っています。

「時代が進むにつれてメディアの形も大きく変わり、今ではソーシャルメディアも非常に優れたストーリーテリングのツールです。ただ、どんなに世の中のメディアが変わったとしても大切なのは”ストーリー”です」と、荻野は講義の中で学生たちに語ります。「みなさんはこれから社会に出てコミュニケーションの仕事に就かれると思います。いつでも自分の指先からストーリーを発信できるこの時代、ストーリーテリングをマスターした人にとっては無限の可能性を感じる時代なのではないかと思います。ぜひストーリーテラーになれるよう、この魔術=レンズを通して、その目でいろんなコンテンツを見てください」と言葉を続け学生たちを鼓舞しました。

『ストーリーテリングの魔術』については荻野が執筆したこちらの記事で詳しく説明しています。ぜひ合わせてご覧ください。

この日も参加した学生たちからたくさんの質問が飛び交いました。その中のひとつ「相手に気づきを与えるコミュニケーションについてアドバイスがほしい」という学生に向けて荻野は「一番重要なのは直接的に言わずに相手に気づいてもらうことです」と答えます。「過去に誰かがやった表現方法で新しい気づきは作れません。常に気づきを作りたければ、新しい表現方法にチャレンジし、今までにない組み合わせでストーリーテリングをする必要があると思います。店頭、スマートフォン、屋外広告等の様々なタッチポイントを組み合わせて気づきを与えることはできるはず。きっとそこが創造性の部分なのかな」とアドバイスを伝えました。最後に荻野は「マーケティングコミュニケーションは99%はロジックと心理学と統計学ですが、残りの1%が創造性です。これを考えることがこの仕事の一番楽しいことなのかなと僕は思います」と自身の想いを学生たちに語りました。

講義を終えた学生たちからは「人が全てにストーリー性を求めると言うのは新たな気づきでした」、「ストーリーテリングの視点で改めて自分の好きな広告を見て、良いクリエイティブを自分の中に構築していけたらと思いました。ありがとうございました」と、感想をいただきました。これからの仕事だけでなく、日常で生活をしていく中にも新たな気づきや小さな変化を与えることができた講義内容であったと私たちは感じています。

未来のために今FICCができることとは

今回、FICCは未来のマーケターたちのために活動をされているAdvertising Week Asiaの考えに共感し、このような学びの場が誕生しました。私たちFICCは、若者たちが夢を持って仕事ができる未来の土壌を作るべく、いつかブランドマーケティングのロールモデル企業となる未来を目指して、今できる最善のアクションを考え真摯に取り組み続けたいと思います。

※当日参加された学生のみに共有された資料ですが、本記事をご覧いただいた読者の方々のために下記資料を公開しております

執筆:深澤枝里子(FICC)

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