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ブランドサイトの目的と役割

荻野 英希 /

残念ながら現在Web上に存在するブランドサイトには明確な目的を持たないものが数多く存在します。ブランドサイトは単に広告の延長として詳細な製品情報を伝え、デザインやコンテンツを通じてブランドイメージを表現するだけでは具体的なブランドの課題に応えることは出来ず、明確な存在意義を示すことはできません。

ブランドサイトの目的は、ブランドからの購入に至るまでにユーザーが体験すべき行動(以下:ブランドアクション)を効率的に実現することです。しかし、ブランドにはそれぞれ個別のマーケティング課題が存在し、優先すべきブランドアクションも異なるため、全てのブランドに当てはまる成功法は存在しません。ブランドサイトはブランドが抱える個別の課題の解決に向けて綿密に設計されるべきであり、ブランドの課題が明確でなければ役割を持つことはできません。

ブランド担当者がブランドサイトのKPIに悩む理由はここにあります。多くのブランドサイトは設計時にその役割が明確に定義されておらず、具体的な目標を持っていないのです。ブランドサイトを設計する際はその成果の測定と改善を可能にするために、達成すべき(複数の)ブランドアクションと数値目標を定義する必要があります。

ブランドアクションに考えられるバリエーションをFICCの事例と共に紹介します。

ブランドアクション1:ブランドを認知する体験

ニーズがあり、特定のブランドに対する購買意欲がない(又は知らない)ユーザーは製品カテゴリーを検索する可能性があります。これらのユーザーとブランドサイトを接触させることで、ブランドを認知させることができます。ブランドの認知を高めたい場合、製品カテゴリーなど、ブランド名を含まないキーワードからの検索流入数などをKPIにする事ができます。

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アップリカのブランドサイトは「ベビーカー」「チャイルドシート」などの検索で1位に表示され、未だ特定のベビー用品ブランドへの意識が無いユーザーをブランドと接触させています。

ブランドアクション2:ブランドのベネフィットを理解する体験

ブランド名は認知していても、正しく理解していないユーザーにはブランドのベネフィットを伝える必要があります。ブランドに対する理解度を高めたい場合、ブランド名の検索や広告などの流入から発生した、ブランド理解を深めるコンテンツの閲覧数をKPIとすることができます。また、単に情報を見せる・読ませるよりも問いかけに答えさせる方が相手の理解を獲得しやすい場合が多くあります。この場合はアンケートや簡単なクイズを応募条件に含めたキャンペーンなどが効果的だと言えるでしょう。

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シックのブランドサイトはシックが肌にうるおいを与えるブランドであることをコンテンツとデザインで表現しています。

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ダノンのコーポレートブランドサイトではダノンが「食を通じて健康を届ける」企業であることを伝えています。

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SP EXTREMESのブランドサイトでは商品情報を閲覧する前に問いかけを行い、商品のベネフィットを強調しています。

ブランドアクション3:ブランドにレレバンス(適切性)を感じる体験

ブランドが提供するベネフィットを知っていても、適切性を感じないユーザーにはベネフィットを自分ごと化する必要があります。手法によってKPIは異なりますが、条件に応じて適切な商品を推薦する診断コンテンツは効果的であると言えます。

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メイベリン ニューヨークの口紅色診断コンテンツではユーザーの肌の悩みや色に合わせて適切な口紅を提案しています。

ブランドアクション4:ブランドを信頼する体験

ブランドが提供するベネフィットに適切性を感じていても、そのブランドを信頼していないユーザーには、安心でき、買わない理由を払拭する情報に接触させる必要があります。ブランド名の検索や製品情報ページからレビューなどのコンテンツ閲覧数をKPIとすることができます。

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グレコのブランドサイトでは商品購入者からレビューを集め、商品情報ページに掲載しています。

ブランドアクション5:ブランドの優位性を感じる体験

ブランドが提供しているベネフィットを信頼していても、他のブランドを選んでしまうユーザーにはブランドの優位性を感じさせる必要があります。第三者機関からの表彰や認定などの情報(エビデンス)を記載する方法が一般的ですが、ユーザー投票などからエビデンスを獲得し、ブランドサイトだけでなくパッケージなどに記載することで、より多くの消費者に優位性を感じさせることができます。

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ダノンビオのブランドサイトではフレーバーのユーザー投票を行い、1位を獲得したフレーバーのパッケージにクレデンシャルを表示しています。

ブランドアクション6:ブランドへのロイヤルティを向上させる体験

ブランドから購入をしたユーザーに対は、ベネフィットを実感・共有できる体験を提供し、ロイヤルティを向上させることができます。手法によってKPIは異なりますが、ベネフィットの体験をコメントや写真などで投稿させることが効果的であると言えます。

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LiptonのFacebookページでは、独自のベネフィットである「レンジで作れるロイヤルミルクティー」のレシピを投稿させるキャンペーンを実施しています。

ブランドが抱える課題を特定することで、ブランドサイトは測定可能な役割を得る事ができ、そのパフォーマンスを改善することができます。上記の事例の多くはブランドが抱える課題とマッチしていたため、実際の店頭での売上にも大きく貢献しました。ブランドサイトの正しい活用は効果的であるだけでなくコスト面でも効率的です。もしブランドサイトのリニューアルを検討しているのであれば、まずはブランドが抱えている課題を正しく理解するところから始めましょう。