企業が配信するコンテンツの多くは、ブランドや商品の特性を伝えるだけで、消費者に価値を提供していません。反対に、消費者に有益であっても、ブランドの強化につながらないものも多く存在します。消費者とブランドの相互利益を実現できなければ、コンテンツマーケティングとは言えません。双方の情報を整理し、理解を深めることで、価値あるコンテンツを見つけ出しましょう。
まずはブランド側の情報を整理します。コンテンツマーケティングの取り組みを検討する時点で既に十分考慮されているはずですが、今一度整理をすることで、消費者とのつながりが見えやすくなります。
- コンテンツマーケティングが解決すべきブランドの課題は何か?
- コンテンツマーケティングが強化すべきブランドの特性は何か?
- コンテンツはどのようにその特性を強化することができるのか?
- コンテンツを通じて、ブランドが主張すべきことは何か? 消費者が共感し、情緒的なつながりを感じるポイントは何か?
次に、ターゲットのペルソナを作成します。どのような人物が、どのような情報を求めているのか。どのような情報が、購買行動にどのような影響を与えているのか。ターゲットのニーズや欲求を正しく理解し、効果的なコミュニケーションを実現するためには、最初に相手の情報を集めなければいけません。
- ターゲットとなる人物は誰か?
- ターゲットはどのようなコンテンツを好むのか?
- ターゲットはどのようにコンテンツを発見、消費し、周りに共有しているのか?
- ターゲットはどのようなキーワードで検索をしているのか?
- ターゲットはどのようなコンテンツをシェアしているのか?
- ターゲットはどのような課題を抱えており、どのような苦痛を感じているのか?
- ターゲットは商品カテゴリーに対し、どのような不満を抱えているのか? どのような期待を持っているのか?
- ターゲットに行って欲しい行動は何か? どのような情報が目的の行動を喚起するのか?
マーケティングチームやコールセンターなど、ターゲットの一次的な情報を持つ人に積極的にヒアリングをしましょう。過去の調査結果やデータなどは、組織の様々な場所に点在しています。オンラインからもターゲットに関する情報を徹底的に収集しましょう。アクセス解析からは、ターゲットがWebサイト上で閲覧しているコンテンツ。Google Adwords キーワードプランナー、Keywordtool.io、Googleトレンドなどからは、ターゲットが検索しているキーワード。Topsyやはてなブックマークの検索などからは、ターゲットがシェアしているコンテンツ。Yahoo!リアルタイム検索や各種ソーシャルリスニングツールからは特定のトピックに関する話題を知ることができます。
また、FacebookやTwitterでターゲットとなる(ブランドや商品に強く反応している)ユーザーの過去の投稿内容を調べることで、その人物の様々な特徴を知ることができます。抱える課題、価値観、ブランドや商品に対する意識、求めるコンテンツなど、異なる属性毎にユーザーを3~6程度のグループに分類し、ペルソナを書き始めます。グルーピングにより、ある程度の規模に対する代表制と、十分な差別化を両立することが重要です。
ペルソナは、架空の人物像を文章で表したものです。ターゲットの本質的なニーズや欲求を明確にし、ステークホルダー間でターゲットに対するコンセンサスを実現します。効果的な戦略につながる詳細なペルソナを作るために、次の要素を含めましょう。
- 人物:デモグラフィックやライフスタイルについて
- 人格:独自の価値観や物事に対する姿勢、好み、性格について
- 環境:家庭環境や人間関係、教育レベル、職業など、判断や行動を左右する外的要因について
- 情報:積極的に収集している情報、検索しているキーワード、日常的に接触している情報の種類について
- 技術:テクノロジーの理解、モバイルデバイスやソーシャルメディアの活用、情報の接触や配信について
- 不満:商品カテゴリーに対する不満について
- 苦痛:日常生活の課題による苦痛について
最後に、双方にとって価値のあるコンテンツを洗い出し、掛けあわせます。購買行動の段階ごとに最適なコンテンツを見つけることで、コンテンツマーケティングのシナリオを作ることができます。
ブランド
- 商品やサービスの価値を理解するために必要なコンテンツは何か?
- 商品やサービスの価値(解決できる問題)に共感するために必要なコンテンツは何か?
- 商品やサービスの品質を信頼するために必要なコンテンツは何か?
- 商品やサービスの優位性を理解するために必要なコンテンツは何か?
- 商品やサービスの購入を判断するために、ターゲットが必要とする情報は何か?
消費者
- ターゲットが検索しているコンテンツは何か?
- ターゲットが日常的に接触しているコンテンツは何か?
- メディアは何か?ターゲットが有益性を感じるコンテンツは何か?
- ターゲットが喜びや楽しさを感じるコンテンツは何か?
- ターゲットの行動に大きなインパクトを与えるコンテンツは何か?
- メディアは何か?ターゲットに大きな利益をもたらすコンテンツは何か?
コンテンツが価値を生むためには、ブランドと消費者の相互利益を作り出さなければいけません。一方的に商品の特性を伝えたり、消費者を喜ばせるだけでは、そもそもの目的が達成できません。消費者とブランドの双方に価値のあるコンテンツマーケティングを実現するためには、正確で、詳細なペルソナを作る必要があります。