FICC ナレッジブログ

デジタルの価値創造フレームワーク

荻野 英希 /

仕事で本来の目的を見失ってしまうことは,決して珍しいことではありません。ブランドマーケティングでも,売上や認知度の向上ばかりが求められれば,消費者への価値提供という本来の目的は簡単に忘れられてしまいます。価値提供と収益成長は常に相互関係にあり,より多くの商品を販売することは,より多くの人にブランドの価値を届けるための手段でもあります。ビジネスを成長させるためには商品を買わせる方法ではなく,消費者が求める価値と,それを提供する方法について考えなければいけません。

digital-value-framework-1

デジタルマーケティングの分野でも,リーチや効率などが頻繁に目的化してしまいます。本来は,如何に広告を届けるかではなく,どのような体験を提供するかということを真剣に議論しなければ意味がありません。現代の消費者は,日々新しいテクノロジーやイノベーションを通じて,たくさんの喜びや感動を体験しています。身近なブランドのマーケティング施策も,デジタルを正しく活用すれば,消費者にたくさんの新しい価値を提供できるのではないでしょうか。

デジタルの価値創造フレームワーク

digital-value-framework-2

ブランドがデジタルを通じて新しい価値を提供し,多くの消費者に選ばれるためには,次の3つのポイントを整理する必要があります。

  • 消費者が抱える問題と苦痛
  • 価値を提供するテクノロジーやリソース
  • 消費者が抱いているブランドイメージ

これらのポイントの交点を見つけることで,ブランドの強化につながる,新しい価値を創り上げることができます。

digital-value-framework-3

消費者が抱える問題・苦痛

人は基本的に2つの目的から商品やサービスを購入します。何らかの苦痛を解消するためか,欲求を満たすためです。苦痛が深刻であるほど,相手にとって魅力的な解決法を提供することが可能になります。消費者にブランドを選んでもらい,大きな価値を提供するためには,まず相手が抱える問題と苦痛を正確に理解する必要があります。商品やサービスに関連するものだけでなく,消費者が日常的に抱える様々な問題を広く検証しましょう。

消費者が抱いているブランドイメージ

次に,消費者が抱える問題と,ブランドイメージとの合致を検証します。ブランドが何らかの情緒的な価値を提供している場合,消費者にはこちらの意図しない形で受け取られている可能性もあります。マーケティング施策をブランド価値の向上につなげるためには,ブランドが一方的に抱えるミッションではなく,実際に消費者が抱いているブランドイメージとの合致が必要です。

価値を提供するテクノロジーやリソース

ブランドイメージと合致する消費者の問題が見つかれば,最後にその解決法について考えます。活用できるテクノロジーやリソース(資源)を洗い出し,それらを通じて提供できる価値を絞り込んでいきます。新しい製品技術や特定の店舗環境などの戦略上重要な資源と,様々なテクノロジーを組み合わせることで,ブランドが提供すべき価値を見つけ出すことができます。

これは非常に単純化されたフレームワークですが,デジタルなマーケティング施策考え始める際の指針になります。消費者,ブランド,テクノロジーを理解し,その交点にあるものが見つかれば,本質的な目的を達成するデジタル体験を創り上げられるはずです。

FICCについて

LEADING BRANDS AND PEOPLE TO PURPOSE

  • 持続するブランド
  • 市場を創るマーケティング
  • 共創がつづくクリエイティブ
  • 存在意義の共創

ブランドマーケティングの実績と哲学

ブランドの社会的意義による新たな市場を創造する「ブランドマーケティング」の考えと、10年以上にわたる戦略とクリエイティブの実績、人の存在意義による共創を通じて、企業のブランディングやマーケティング活動の支援や、さまざまな企業やセクターの方々と未来のビジョンの実現に向けた取り組みを行っています。