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FMCGブランドに求められる動画コンテンツマーケティング

荻野 英希 /

デジタルマーケティングの予算は、確実にコンテンツへとシフトしています。Contentlyのレポートによれば、アメリカでは既に57%のブランドがコンテンツマーケティングの専任者を設けています。Econsultancyのレポートでは、コンテンツへの平均的な支出は15%に上り、Web制作の14%を上回っています。FMCGの場合は27%とさらに高く、特に動画に対する積極的な投資が見られます。このため、現在アメリカでは、オンライン動画市場の19%をFMCGが占めている状況です。

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Enterprise Priorities in Digital Marketing
CPG Brands See Better Engagement, Reach with Digital Video

消費者の動画コンテンツに対する需要は、このようなブランドの対応を上回っています。reachEngineのレポートによると、動画コンテンツをデジタルマーケティングの最優先事項としているブランドは25%程度ですが、サイト訪問時に動画コンテンツを視聴するユーザーは59%に上ります。動画を好む傾向は特に若年層に強く、同じコンテンツが画像や文章で提供されていても、51%は積極的に動画を選択しています。さらに45%は、ブランドが提供する動画をソーシャルメディア上で知人へと共有しています。

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Brands Not Meeting Consumer Desire for Video

動画コンテンツは消費者に選ばれやすいだけではありません。臨場感により、より強い印象を与え、情報の理解度を高めます。解説ビデオを専門とするSimpleShowと、ドイツの教育機関による共同研究では、独自フォーマットで作成した3分の動画が、テキストベースの資料に比べ、情報の理解度を1.5倍まで伸ばすことに成功したと報告しています。

動画コンテンツのマーケティング活用には、高い効果が期待できます。しかし、国内で積極的な取り組みを行っているブランドは決して多くはありません。FMCGメーカーや、ブランドのYouTubeチャンネルを見ても、CMばかりが掲載されており、消費者が求めるコンテンツと大きく乖離しています。

国内のブランドが動画コンテンツマーケティングに遅れをとる理由は複数考えられます。先ずはコストです。CM製作に慣れたマーケティング担当者は、動画製作がとても高額であるという印象を持っています。オンライン向けの動画であっても、同じ代理店に発注し、同じプロセスで進行すれば、同様のコストがかかるのは当たり前です。今ではMobercialやViibarなど、オンライン動画専門のサービスも数多く存在します。比較的低予算で、十分な品質の動画コンテンツの制作が可能であるため、同様の予算で、大量の動画コンテンツを作成することができるのです。

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Viibar

今ではYouTuberと呼ばれるオンライン動画クリエーターが、自ら撮影・編集した動画で、100万回以上の再生を獲得することも珍しくありません。しかし、ブランドのYouTubeチャンネルに掲載されたCM動画の再生回数は数万回が良いところでしょう。CMだけを配信することで、大きな機会損失を招いてはいないでしょうか。動画コンテンツのマーケティング活用に必要となるのは、決して大きな製作予算ではありません。YouTuberのように、低コストな動画コンテンツの製作・配信を積み重ね、オーディエンスを築き、知見を貯めていくことが求められます。

次に、どのような動画を作れば良いか、という問題があります。オンライン動画の多くは、尺や内容に制限が無く、広告主や代理店が持つ制作プロセスが通用しません。消費者が求めるコンテンツと、物を売る広告は全く別物です。先ほどのreachEngineのレポートによれば、67%のユーザーがハウツーやチュートリアルの動画を求めています。動画コンテンツは必ずしもエンターテインメント目的のバイラル動画である必要はありません。消費者にとって有益な動画コンテンツには様々なカタチがあるはずです。

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Brands Not Meeting Consumer Desire for Video

JMPHのレポートでは、FMCGの中でも、求められるコンテンツの種類はカテゴリー毎に異なるとされています。食品や飲料では、エンターテイメントが求められる傾向がありますが、機能性食品や、パーソナルケアなどの分野では、製品紹介や消費者・KOLのテスティモニアルなどが求められています。さらに、コンテンツの「顔」には、消費者や第三者のエキスパートを起用し、ブランドサイトをこのようなコンテンツの集合体にすべきであるとしています。

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What’s In It For Me?

最後に、動画コンテンツの効果測定方法の問題があります。視聴単価は数円であるにも関わらず、「◯◯◯万再生達成!」というような記事をいまだに見かけることがあります。大手の広告予算を考えると、決して大きな数字ではありません。オンラインで動画を配信することのメリットは決してリーチではなく、詳細なターゲティングとデータの取得が可能なことです。ターゲットの視聴を獲得した効率と、視聴による態度変容こそが指標であるべきです。

動画コンテンツの効果測定方法はアメリカでも課題となっています。特にFMCGの場合はリテール環境での購買データを視聴データと掛け合わせない限り、直接的な費用対効果を計測することはできません。現状では、パネルアンケートを通じて、視聴ユーザーのブランドリフトを計測することが最も現実的でしょう。

動画コンテンツは若い消費者とのエンゲージメントには欠かせないチャネルになりつつあります。多くのブランドはこの重要性と機会を認識しながらも、十分な対応を行っていません。FMCGのマーケティング担当者は、ブランドや、カテゴリーに適したコンテンツを理解し、積極的に動画コンテンツの制作・配信・効果測定に取り組み、知見を貯めるべきです。ブランドの影響力を高め、マーケティングの費用対効果を大きく高めるためには、消費者に共感・共有される動画コンテンツの配信が不可欠となるでしょう。