
「ブランディングとマーケティングは別物」といった認識に疑問を投げかけ、独自の「ブランドマーケティング」という概念で企業の持続的成長を支援するFICC。
資生堂、パナソニック、明治、バンダイといった日本を代表する企業から信頼を寄せられてきたFICCの強みは、20年以上にわたって磨き上げてきたブランドマーケティングの数々のナレッジと、リベラルアーツ経営に基づく「個の想い」から価値創出をする独自のアプローチにあります。短期的な売上向上だけでなく、ブランドの本質的な価値を高め、長期的なビジネス成長へと導く——そんなFICCの仕事の魅力について、クリエイティブディレクター兼プランナーとして活躍する水川 史也に話を聞きました。
映像制作からキャリアをスタートし、転職支援サービスでのマーケティング経験を経てFICCに参画した水川。「個人を尊重する風土」と「クリエイティビティへのこだわり」に惹かれて入社を決めた水川が語る、FICCならではの働き方とは?

CATV局にて映像コンテンツの企画制作、転職支援サービスにてUX改善/マーケティングを経験したのち、2020年4月にFICCへ入社。生活者とブランドをつなぐストーリーの設計と、それを軸とした体験デザインやコンテンツの開発を得意とする。目指すのは、ブランドのビジネス資産として長く活躍するクリエイティブやサービスの開発。プライベートでは自主映画の制作やオリジナルプロダクトの開発も行う。
裁量の大きさと、個人を尊重してくれる風土が心地よい
──これまでの経歴について教えてください。
大学で映像制作について学んだ後、新卒で地元のケーブルテレビ局に入社しました。ケーブルテレビ局は民放と違って自主番組制作がとても盛んなため、自分で企画を立ててカメラを担ぎ、取材から制作まで自由に取り組んでいました。地域情報番組や自治体のPRムービーなど、ジャンルを問わずさまざまな番組にチャレンジしたのはいい思い出です。約3年間とても楽しく働かせていただきました。
一方で、ケーブルテレビは視聴者数に限りがあるため「多くの人にリーチしづらい」というモヤモヤも抱えていました。せっかく働くなら、もっと大きなインパクトを与えられる人になりたいと思い、転職を決意しました。マーケティングやプロモーションに興味を持ち始めたのもこの頃でしたね。
次に入社したのは、転職支援サービスを運営する会社でした。上京して新たな経験を積みたいと考えていた矢先、友人から「一緒に働かないか?」と誘われたことがきっかけです。そこでは、転職メディアのUX改善やマーケティング担当として約4年勤務しました。事業が日々成長していく、成長企業ならではの面白さを味わうことができました。
ただ、私が本当にやりたかったのは「広く世に知れ渡る制作物を作り、それによって多くの人の気持ちが動く仕事」だったため、入社初日からずっと心のどこかに「これは本来やりたい仕事ではないかも」という違和感がありまして…。そろそろ自分の本心と向き合おうと思い、再び転職活動を始めることにしました。その中で出会ったのがFICCでした。
──転職先にFICCを選んだ理由は何でしたか?
FICCには選考の時点でさまざまな魅力を感じていたのですが、決め手になったのは大きく3つです。
1つめは、クライアントと直接取引していて、戦略策定からクリエイティブまで一気通貫でご支援している点です。お客様との距離が近いからこそ裁量も大きく、私たちが関与できることの幅も広いです。
2つめは、マーケティングだけでなくクリエイティブにも重きを置いている点です。FICCは戦略づくりに強みを持ちながら、Web制作会社からスタートした歴史もあり、クリエイティブにも力を入れているという特徴があります。
3つめは、社員の業務外の活動まで尊重し、評価してくれる風土です。私は個人で自主映画やオリジナルプロダクトを制作しているのですが、FICCはこうした個々の活動や趣味も、キャリアや人生設計を構築していく上での大切な要素だと考えています。一人ひとりの個性を尊重する雰囲気が根付いていると感じています。
──前職と比べたときの、“FICCらしさ”はどんな点にあると思いますか?
入社理由とも重なりますが、やはり「個人として尊重されている」ということを日々実感できるのは、FICCらしさだと感じます。
たとえば私の上司は、私のキャリアや希望する仕事内容を深く理解したうえで、その挑戦の機会を定期的に提供してくれます。もちろん希望通りにいかないこともありますが、その際も必ず丁寧なコミュニケーションを取ってくれるんです。
また、個人を尊重する文化は全社に根付いているため、何気ない会話の中でもお互いの考え方や感じ方を大切にする姿勢が感じられます。視点や意見が異なるときも、誰かが一方的に押し切るのではなく、お互いをリスペクトしながら議論を重ねられるので、とても心地よく働けています。
持続的な成長を実現する、FICCの「ブランドマーケティング」

──水川さんの仕事内容について教えてください。
クリエイティブディレクター兼プランナーとして、企業のブランドマーケティングを支援しています。プロジェクトごとに業務内容は異なりますが、軸となる戦略立案やブランドコンセプトの策定、クリエイティブ全体のディレクションまで、根幹から細部に至るまで幅広く携わります。そのため、広い視野が求められる仕事です。
──クライアントの課題によって実施すべき施策や制作すべきコンテンツは異なると思いますが、多様な手段の中から最適解を選ぶ方法や基準はあるのですか?
決まった型や思考体系はなく、クライアントとの対話を通しての気づきや考えを形にするようにしています。大切にしているのは、お客様の要望を鵜呑みにしないこと。ニーズに合わせてただ提案するのは簡単ですが、それでは私たちの介在価値がなくなってしまいます。将来的にその企業の資産となるような支援ができるよう、お客様の意向を踏まえつつ、プロジェクト実行後のことまで見据えたプランを提案するようにしています。
──FICCが掲げる、ブランディングとマーケティングが分断されることのない「ブランドマーケティング」とはどのような考え方なのか、詳しく教えてください。
マーケティングとブランディングは、別々のものとして管理・運用されることがよくあります。たとえば、マーケティングは「SNSマーケティング」や「デジタルマーケティング」など、個別最適化されたソリューションとして語られ、ブランディングは「良いイメージをつくる活動」として切り取られがちです。
しかし、私たちはこの2つを本来切り離すべきではないと考えています。マーケティングは、人々の暮らしや意識の中に新たなニーズを見出し、そのニーズに合った商品やサービスを提案する活動。ブランディングは、その商品やサービス(あるいは企業)の価値や世界観を、人々の記憶に残していく活動です。
つまり、マーケティングがニーズを生み出し、ブランディングがそのニーズに対して「このブランドなら応えてくれそう」という印象(記憶)をつくっていく。両者は互いに補完し合う関係であり、分けて考えるのではなく連動させていくことが重要だと捉えています。
ブランドと生活者をつなげた「ずっとニャかよしプロジェクト」
──これまで手がけた中で、特に印象に残っているプロジェクトはありますか?
ブランドと生活者をうまくつなげることができたと感じたのは、ライオンペット株式会社の「ニオイをとる砂」という猫用トイレ砂のブランド支援プロジェクトです。

ライオンペット株式会社は、ペット用品の開発を行う企業として「ペット第一主義」を掲げています。私が担当したプロジェクトでは、これから猫を飼おうと考えている方々に対して、「ニオイをとる砂」の認知拡大を図ることがゴールでした。
ターゲット層へのアプローチを検討する中で出てきたのが、「猫を飼おうとしている人は、真っ先にトイレのことを気にするのではなく、まずは猫を迎えるために必要な知識や情報を集めようとするのではないか」という意見でした。
そこで立ち上げたのは「ずっとニャかよしプロジェクト」です。先輩飼い主の皆さんに愛猫のプロフィールを作成し、SNSに投稿してもらう施策を行いました。プロフィールには、猫のかわいい一面だけでなく、困った一面も正直に書いていただき、猫を飼うことの魅力と大変さが両方伝わるように設計しました。結果的に、多くの飼い主さんが愛にあふれたプロフィールを投稿いただき、多くのリアクションが集まったんです。
最終的には「ニオイをとる砂」認知拡大の目的以上に、「猫を家族の一員としてずっと大切にしてほしい」というブランドの想いまで伝えられるプロモーションとなりました。
──ブランドのパーパスや関わる人たちの想いをビジネス成果につなげるために、意識していることはありますか?
プロジェクトメンバーからお客様まで、一人ひとりが持つ視点をきちんと尊重することです。これは私だけでなく、FICCのメンバー全員が意識していることだと思います。
一般的な会社だとリーダーの意見が強く反映されたり、「この方向性で決まっているから」とあまり議論せずに物事を決めるケースも多いと思います。ですが、FICCは違います。私自身、プロジェクトリーダーを務めることもあれば、メンバーとして参加することもありますが、FICCではプロジェクトや立場問わず、必ず全員の意見に耳を傾けるんです。
もちろん議論を重ねるため、なかなか結論が出ないこともあります。ただ、その分一人ひとりが当事者意識を持ってプロジェクトと向き合えるので、結果としてより洗練されたアウトプットが生まれるのです。
──今後の目標について教えてください。
ストーリーやコンテンツ、サービスなどで“面白い体験”をつくって提供し、課題解決へ導く存在になることを目標にしています。FICCには短期的なプロモーションやマーケティング支援にとどまらず、ブランド開発や商品開発にも挑戦できる環境があるので、活躍の幅をさらに広げていきたいですね。特に、最近FICCではリブランディングやブランド構築を支援するプロジェクトも増えているので、そうした領域でお客様のビジネス成長を積極的に支援できたらと考えています。
人の可能性に着目できるか ー リベラルアーツ組織での大切な姿勢

──FICCで活躍できるのはどんな人だと思いますか?求めるマインドセットやスキルを教えてください。
私はプロジェクトを進める上で、「構想」「編集」「実装」という3つの視点を大切にしています。
「構想」は、施策が成功したときにどんな状態になっているか、そのゴールやコンセプトを具体的に描ききること。
「編集」は、その構想に対して出てきたさまざまな意見やアイデアをもとに、より良いかたちに整えていくこと。
「実装」は、関わる人たちの意志が宿ったアイデアを、施策として実行すること。
この3つの過程を経ることで、実効性あるアウトプットにつなげられると考えています。
それを踏まえると、「可能性を排除せず、さまざまな視点や意見を取り入れられる方」が向いていると思います。FICCは、人と対話することで思考を自由にし、新しい可能性を見出していく「リベラルアーツ」がカルチャーとして浸透している会社です。自分の考えに固執せず他人にも耳を傾けられる方、そして自分と他人の考えを融合して新しいアイデアを創造しようとできる方は、存分に活躍できるはずです。
──FICCにはどのような成長環境や学びの機会がありますか?
FICCはブランドマーケティングエージェンシーであるため、「目先のプロジェクトだけ成功させればいい」「このプロモーションさえうまくいけばOK」といった個別最適ではなく、ブランド全体を成長させる企画やクリエイティブ制作にこだわっています。お客様と「今後、会社やブランドの舵をどう切っていくか」といった源流の部分から対話する機会も多いです。その分、より広い視野を持って課題解決にあたる経験が積めるのはFICCならではと言えるのではないでしょうか。
──最後に、応募を検討している方へメッセージをお願いします。
現代はAIの発達により、ある程度のものは生成AIで作れてしまう時代になりました。どの企業もAIを活用するのが当たり前になるとすると、我々のようなエージェンシーやコンサルティング会社は「いかに人の可能性に着目できるか」が事業成長の鍵を握ると考えています。
その中でFICCは、人と人が相互に尊重し合い、新しい価値を生み出していこうとする風土がある会社です。対話を通して今までにない発想やアイデアを生み出し、それを価値として世の中に届けようとしているんです。時には AIを活用しながらもまだまだ人の力で面白いものを作りたいと考えている方は、ぜひFICCで一緒に働きましょう!

※本記事はWantedlyに掲載したインタビュー記事を転載しています。