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ブランドパーソナリティを表現するWebデザイン

荻野 英希 /

人の行動というものは大抵において衝動的であり、その判断は感覚的で不合理です。一見論理的な行動に見えても、そのほとんどは潜在的な感情に左右され、論理的な思考に達する前に決断が下されているものなのです。行動や判断において、人は情緒や感情から逃れる事はできません。そのため、私たちはデザインの情緒的側面を無視する事ができないのです。15世紀にカリグラフィを基にデザインされたヨハネス・グーテンベルクの活版印刷機から、今や誰もが愛してやまないアップル製品まで、私たちは常に機械のデザインに使いやすさや機能性以上の「パーソナリティ」を求め続けてきました。

Webデザインにも機能性だけでなく、情緒的なつながりを実現するパーソナリティが必要です。Webサイトが効果的に使用されるためには、機能性・見た目の美しさに加え、ユーザーが共感できる独自の特徴や視点を表現しなければなりません。また、Webデザインを通じたパーソナリティの表現はユーザーだけでなく、ブランドにとっても重要です。パーソナリティは競合がひしめく市場の中でブランドを差別化し、ユーザーの心を動かし、ブランドを長く記憶に残します。

では、Webデザインはどのようにブランドのパーソナリティを表現するのでしょうか?いくつかの事例を見てみましょう。

Fanta

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FantaのWebサイトは過去に米アナリスト・ファームForresterのブランドイメージレビューの合格点を獲得した数少ない事例です。コンテンツだけでなく、フォントや背景などからファンタらしい「楽しさ」が伝わってきます。ボタンやフォームの要素などは汎用的なデザインですが、全体を通じて独特のブランドパーソナリティの表現に成功しています。

Mail Chimp

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Webデザインにおけるブランドパーソナリティの事例として頻繁に用いられるのが、メール配信サービスのMail Chimpです。ブランドのシンボルであるチンパンジーのフレディー・ヴォン・チンペンハイマー4世にはブランドのペルソナが込められ、ソフトウェア会社のWebサイトには珍しいちょっとしたユーモアと親しみやすさを与えています。しかし、「使いやすさ」や「やさしさ」のパーソナリティを持つブランドとして、Mail Chimpはフレディーを必要以上に使うことはありません。代わりにインターフェイスのデザインをシンプルにし、明るい色や、丸みを帯びたボタンなど、人にポジティブな感覚を与えるデザインを施しています。

※フレディーのペルソナはこちらからダウンロードできます。

Aflac

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Mail Chimpのシンプルなインターフェイスとは異なり、多くの情報の入力を必要とするAflacのサイトではお馴染みのアヒルがフォームに登場します。保険というシリアスなトピックであるにも関わらず、威圧感は無く、親しみと信頼を感じさせます。

Crayola

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クレヨラのWebサイトには「創造性」を感じさせる細かいデザインが施されています。タイトルの文字が1文字ずつ色が違っていたり、ボタンの背景がクレヨンで塗りつぶされたようになっています。ちょっとした工夫ですが、Webサイトという機械ではなく、「創造を楽しんで欲しい」と思う人とのインタラクションを感じさせます。

Jack Daniels

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テネシー・ウイスキーのJack DanielsのWebサイトでは、ボトルのデザインに合わせたデザインエレメントだけでなく、1つ1つのコピーからブランドのパーソナリティが伝わってきます。例えばニュースレターの登録ページでは「友人」や「つながり」という言葉が含まれ、まるでアメリカ南部の訛りまで聞こえてきそうな口調で書かれています。

Domino’s Pizza

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これはWebサイトのインターフェイスからブランドパーソナリティがほぼ排除された事例です。例えば左上のロゴを競合のものと入れ替えたとして、大きな違和感を感じるでしょうか?このように機能性だけを追求したデザインの場合、インタラクションはポジティブな体験を生み出すことはできず、少しの機能性の問題が完全にネガティブな体験になりかねません。食品のサイトであるにも関わらず、まるで味や質感が全く無い食事をしているかのような気持ちにさせられます。

誰でも使いやすさより、魅力を優先して買うものを選んだことがあるはずです。このように、人は必ず、論理的な判断をする前に情緒的な反応をしてしまいます。美しく、共感できるデザインからはより優れた機能的な結果が得られるという研究結果も存在します。それでも毎日使うWebサイトのデザインにおいて、情緒的な表現やパーソナリティの重要性を見過ごすことができるでしょうか?

ユーザービリティはとても重要です。食べ物も「美味しい」ことである前に「食べられる」必要があります。しかし食べ物の味や質感のように、デザインにパーソナリティが無ければ、Webサイトの体験はせいぜい苛立つものか、良くてもつまらないものにしかなりません。ポジティブな体験を生み出すためにはパーソナリティが不可欠なのです。

まずはあなたのブランドのWebサイトが独自の特徴を伝えているか、またはポジティブな気持ちにさせてくれているかを確認してみましょう。