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ゲームに学ぶ"ユーザーに嫌われない"Webデザイン6つのポイント

“ゲームの楽しさを取り入れたWebデザインを考える”
ゲームって楽しいですよね。私も大好きです。最近ではゲームの考え方(ゲーミフィケーション)を取り入れたデジタルコンテンツが増えています。ゲーミフィケーションとは一体なんでしょうか。Wikipediaの定義の項目を要約すると、

  • 楽しんでもらえるようにする仕組み
  • 長く付き合ってもらえるようにする仕組み

ということのようです。確かにゲームを遊ぶと楽しいし、ハマって何時間も遊んでしまうことがあります。逆に遊んでいてつまらない、すぐにやめたくなってしまうゲームは俗に「クソゲー」なんて言われて嫌厭されています。Webサイトだって使ってて楽しく感じてもらいたいですし、もっと長く滞在してくれたらうれしい。何より「クソゲー」ならぬ「クソサイト」なんて言われたら制作者としてもショックです。ですからゲームが持つ「楽しんでもらえる仕組み」をWebデザインに適用できたら素敵じゃないでしょうか。

しかしゲームはどうして “楽しい” と感じるのでしょう。私の個人的な考えですが、自分が1入力したら1以上返ってきたとき人はそれを “楽しい” と感じる、と考えています。どんなゲームも「ボタンを押す」→「押した結果が返ってくる」の繰り返しなのです。では皆さんが想像しやすいように誰もが遊んだことのあるゲームの王様、スーパーマリオで考えてみましょう。

「1入力したら1以上が返ってくる」状態を続けよう

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コントローラーのAボタンを押す、これが「1を入力した」状態。普通はただマリオがジャンプしてそのまま落ちてくるだけです。これだけでも楽しいけどあまり見返りがありませんね。

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ではタイミング良くそこに敵がいたらどうでしょう。なんと踏みつけて倒すことができました。嬉しいですね。感じ方は人それぞれですがこれで「1入力した」(ボタンを押した)状態から「1以上が返ってきた」(敵を倒せた!)状態に遷移しました。

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そして時に敵を踏みつけたついでに蹴飛ばした亀の甲羅が次々に他の敵を倒して行き華麗に1UPしてしまうこともあるでしょう。1の入力がとんでもない成果(10、100…)に化けました。これをここでは「リターンの爆発」と呼びましょう。

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逆にボタンを押してもうまく操作できない、ボタンを押した結果がよく分からない、思い通りに行かない、理不尽に一方的にやられる…そんなとき人はゲームをつまらなく感じます。

「1入力したら1以上が返ってくる」そして「リターンの爆発」、これが繰り返されることがゲームを楽しいと感じる正体です。マリオもドラクエも、ソーシャルゲームもケータイ向けブラウザゲームもみんなそうです。「1入力したら1以上が返ってく」ればいいわけですから、捉え方次第ではいろんなものをゲームとしてとらえることもできるでしょう。Google検索だって、ウェブサイトだってゲームと捉えることもできそうですね。続けることが苦しい勉強だって(脳トレ)、フィットネスだって(Nike+)、ダイエットだって(WiiFit)、現にゲームになっているわけです。

「1入力したら1以上が返ってくる」なんて当たり前の、簡単だと思うかもしれせんが、制作したコンテンツが本当にそれを満たしているかどうか。改めて考えてみる必要があるでしょう。

1. アクションを適切に誘導できていますか?

そもそも ”1入力” がなければ何も返すこともできません。さてゲームを始めたけど何をすればいいかわからない、なんてクソゲーの典型です。ここは何のためのページですか?ユーザーが何をすればいいかわかるようになっていますか?登録画面など一連の動作が必要な場合はチュートリアルやヘルプメッセージの充実が求められるでしょう。

2. 常に「ユーザーに対してアクションを促し続ける」インターフェースになっていますか?

例えば、メールを開いたら自然と「返信」ボタンが表示されるように、行動を促すインターフェースを作りましょう。ユーザーのアクションを止めてはいけません。スクロールしたら「次へ」、商品のページでは「購入導線」、どんなWebページでも必ず次の指示、次のアクションの提示を行いましょう。

3. アクションに対して、ユーザーが期待した応答ができていますか?

ユーザーが行ったアクションに対して何が起こったかを適切につたえられていますか?ボタンを押して何も反応がない、予期した動作が行われない、のは大問題です。また「検索しても検索結果が何もない」「入力エラー処理」など予期せぬ事態に対するユーザーへの対応も重要です。「しかし、なにもおこらなかった!」だって立派なユーザーアクションへの反応なのです。

4. アクションに対する適切な演出ができていますか?

表現力はゲームが最も強みとする部分です。適切な演出がついていないとユーザーの勘違いを引き起こす可能性が出てきます。RPGならダメージと回復では違う演出がついています。もしこれがあべこべだったりわかりづらかったらユーザーは “こんらん” することでしょう。「ゲームをクリアしたときには…」「魔法を使ったときには…」「宝箱を開けるときは…」など具体的な例を思い浮かべてみるのもいいでしょう。「押すだけで楽しい!」が実現できたなら最高ですね。なめこの刈り取り作業などなどはそれだけでも楽しいことの一例です。

5. アクションが必要以上に複雑になっていませんか?

アクションのコストを下げましょう。「1入れて1以上」返さなくても「0.5入れて1以上」返せばいいのです。例えば「2つのラジオボタンと1つの送信ボタン」と「2つの送信ボタン」では同じ結果でもアクションの数が違います。最低単位は1クリック、1タッチ、1スライド。適切で簡単な入力をさせましょう。

6. アクションの選択肢が多すぎませんか?

選択の自由は選択の煩わしさでもあります。もしゲームで「HPを10回復する薬草」「HPを15回復するポーション」「HPを13回復する飲み薬」…と同じような効果でたくさんの種類のアイテムがあったら選択するのすら面倒です。大して違いがないなら選んでも選ばなくても一緒、という割り切りが必要です。ユーザーに選ばせる時点でコストになる、と肝に銘じましょう。メニューの数やカテゴリーの数はよく考えて、導線がたくさんあるのもいいですが結果的にユーザーを惑わせないように。よくソーシャルゲームなどは「決定ボタンをただ押してるだけじゃないか」などと揶揄されたりしますが、それはある意味アクションのコストを極限まで下げたゲームの形と言えるでしょう。

ゲームは長い歴史の中で「人に面白いと感じてもらえる方法」を追求してきました。ハードの性能向上によるグラフィックの変化だけでなく、もはや説明書を読んでプレイするゲームが存在しないように、プレイヤーへの対応も劇的に向上していきました。一方Webサイトにはそもそも説明書も、攻略本もありません。「楽しんでもらえる」「長く付き合ってもらえる」ために見た目だけではない、”ユーザーをアクションを促し、望んでいる反応を返す” Webデザインを制作していきましょう。

今回は「1入力したら1以上が返ってくる」ことについて集中してお話ししましたが、次回は「リターンの爆発」についてお話しします。どうすれば人は「リターンの爆発」を経験し「ハマる」のか?を考えてみましょう。

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