登壇報告|歴史学的思考を、これからの経営へ。慶應義塾大学KGRI「2040独立自尊プロジェクト」のイベントにFICC代表・森が登壇

10月20日、慶應義塾大学三田キャンパスで開催された「歴史学的思考はイノベーションに何をもたらすのか 〜歴史家と経営者との対話〜」に、FICC代表・森が登壇しました。

本イベントは、超少子高齢化に伴う「2040年問題」に向き合うKGRI 2040独立自尊プロジェクトなどが共催。社会の基盤が大きく変わるなか、これまでの常識や判断の前提を問い直し、未来の社会や事業の可能性を考える手がかりとして、歴史研究者が実践する思考法に焦点を当て、研究者と経営者が対話しました。

東京大学准教授・山本浩司氏による講演では、歴史研究に根差した思考の枠組み「TRACE」を紹介。問題や判断基準がいつ、どのような状況で生まれたのかを確かめることや、誰の立場から捉えているのかを見直すことなど、変化の時代の経営にもつながる視点が示されました。

続くパネルディスカッションでは、森を含む研究者と経営者が、「TRACE」のアプローチが、今、そしてこれからの時代になぜ欠かせないのかを議論。事業の判断基準を問い直すこと、企業理念を社員と共有すること、新規事業の可能性を見出すこと、市場創造に向けた共創相手を捉えることなど、多角的な観点から、経営の実践との接点を探りました。

また、森は、企業活動の軸がマーケティング(市場創造)からブランディング(存在意義と文脈の共有)へと広がり、戦略に加えて、多様な立場の人々との合意形成が求められていることに言及。だからこそ、自社が社会をどう捉えているのか、誰の視点から価値を語るのか、そして自分たちの解釈を自覚し続ける「TRACE」の視点が重要になります。こうした視点は、企業の存在意義を社会や社員と共有し、事業や組織の行動につなげる、FICCのブランドマーケティングにも通じています。

人文社会科学では、具体的な歴史や事例という「研究対象」と、それを読み解く「研究手法」が結びついています。再現性ある確かな「研究手法」と人々の中で記憶となり文脈となる「研究対象」。こうした行き来から生まれる豊かな文脈が、私たちの当たり前を問い直す視点にもつながります。リベラルアーツを経営のコアに掲げるFICCも、こうした人文社会科学の豊かさを新たな価値創造につなげるとともに、過去から現在、未来へと受け継いでいきたいと考えています。

(左上)マザーハウス代表取締役副社長・山崎大祐氏、(右上)東京大学准教授・山本浩司氏、(右下)東京科学大学准教授・本條晴一郎氏、(左下)東京科学大学准教授・鳥谷真佐子氏

当日は参加者の約半数を企業関係者が占め、経営層や新規事業に携わる方々も参加。歴史学的思考や人文社会科学に対する、ビジネス領域からの関心がうかがえる場となりました。

当日の対話の詳細は、後日「inside FICC」でレポートを公開予定です。ぜひご覧ください。