
2025年6月26日、千葉県船橋市立金杉台小学校にて、FICCのクリエイティブディレクター・水川 史也とディレクター・水嶋 未来、HR・鈴木 友がオリジナルカードゲーム「モヤヤヤン」を使用した授業を実施しました。
5年生の2クラスの「総合的な学習(探究)の時間」の授業にて、考えることの楽しさや意義を伝える取り組みとなりました。
FICC クリエイティブディレクター / プランナー・水川 史也
CATV局にて映像コンテンツの企画制作、転職支援サービスにてUX / マーケティングを経験したのち、FICCに入社。生活者とブランドをつなぐストーリーの設計と、それを軸とした体験デザインやコンテンツ開発を手がける。ブランドの資産として長く活躍するクリエイティブづくりを目指している。
FICC ディレクター・水嶋 未来
制作会社にてWebデザイナーおよびWebディレクターとしての経験を経て、2019年よりFICCにジョイン。イベントや体験設計のディレクションを担当。手触り感を大切にしながら、人と人が優しくつながるコミュニケーションの創出を目指しています。
FICC HR / 広報・鈴木 友
総合商社にて人事・総務を経験後、2020年FICC入社。子どもの教育に関心を持ち、社内プロジェクトである、考える行為が価値になる教育カードゲームの開発に関わる。赤坂 児童館や千葉県 小学校にてプロトタイプを実施。
FICCの社内発、“考えること”の価値を伝えるカードゲーム
授業で使用したカードゲーム「モヤヤヤン」は、FICCの社内有志による自主プロジェクトから誕生しました。
AIや検索エンジンの進化によって、「得たい結果」へのアクセスは飛躍的に便利になりました。一方で、自ら考えたり、試行錯誤しながら自分なりの答えにたどり着くといったプロセスが軽視され、子どもたちの探究的な視点や、思考を持続する力、創造的に考える力が育まれにくくなるのではないかという懸念もあります。
そうした状況に対し、“考えること”にこそ価値と楽しさがあると実感できる体験を届けたい ― そんな想いから、「モヤヤヤン」は開発されました。

正解のない問いで、子どもたちの思考が自由に
当日の授業では、子どもたちに宇宙人 “モヤヤヤン” が抱える悩み(=答えのない問い)に対して、手元のアイテムカードを自由に組み合わせながら、グループでアイデアを出し合い、その解決策を発表してもらいました。

モヤヤヤンの悩みには「空を飛びたい」「みんなの気持ちがバラバラ」など、どこかユーモラスで自由度の高い問いばかり。解決策となるアイデアに「正解」や「不正解」はなく、どんな答えもすべて肯定される “全部正解” のルールが、このゲームの特長です。
自分の考えが否定されない安心感のなかで、子どもたちはのびのびと発想を広げ、時には他の子のユニークなアイデアに思わず笑ったり、驚いたりする様子も見られました。

また、アイデアを発表すると “顔パーツ” が1つもらえる仕掛けも、ゲームの没入感を高めるポイントとなりました。目や口、表情のパーツを1枚ずつ集めていき、最後にテーブル上で「モヤヤヤンの顔」を完成させていくプロセスは、チームとしての一体感や達成感を生み出します。仕上がったキャラクターの表情は、各グループのアイデアの軌跡そのものであり、思考と協働の “かたち” が目に見える楽しい演出となりました。

授業を実施したクラスでは、子どもたちが夢中になってカードを組み合わせ、次々とアイデアを出す様子が見られました。
授業を終えた子どもたちからは「何を考えても正解だから楽しかった」「他の人の考え方を知れたのが面白かった」などポジティブな声が寄せられました。
教職員からも「普段の授業では発言が少ない子が積極的に関わっていた」「どんなアイディアでも認められる心理的安全性の高い場になっていて、子どもたちにとっても良かった」といった感想をいただきました。
クロスシンクの実践が生んだ、発想の自由と広がり
FICCでは、自身の専門性や探求領域から社会に対して問いを立て、社会の固定観念・枠組みを変えて、新しい価値を生み出していく「リベラルアーツ経営」を実践しています。社内では、自分と他者の視点・思考を掛け合わせ新たな可能性を生み出す「クロスシンク」というアプローチを大切にしています。今回のカードゲームは、まさにFICCの社員がそれぞれの探求領域から着想し、クロスシンクの考え方をカタチにした象徴的なコンテンツです。
“正解を出すこと”よりも、“考えること” や “他者と視点を共有すること” に価値があるという前提のもとで設計されており、それはFICCが日々の事業活動や組織運営においても大切にしている姿勢そのものです。
授業では、子どもたちが自由に発想を広げ、他の子のアイデアに耳を傾けながら、互いの考えに触れる様子が自然と広がっていきました。 自分の思考を自由にし、他者と対話することで、新たな可能性が生まれていく ─ このプロセスこそが、FICCが大切にしているリベラルアーツの考えであり、ブランドや事業に向き合う上でも重要な価値の源泉と捉えています。
本プロジェクトでは、今後もカードゲーム「モヤヤヤン」の開発を進め、より多くの子どもたちに “考えること” の楽しさや意義、そして正解のない問いに向き合う力を伝えていきたいと考えています。