大手製薬会社

ブランド戦略からコミュニケーションまで。
創業期から受け継がれる商品のブランドコミュニケーションガイドライン開発

市場の価値観や購買行動が大きく変化する中、長い歴史と実績を持つ大手製薬会社のスキンケアブランドは、新たな課題に直面していました。

これまで若年層や美容意識の高い層へのアプローチとして、パッケージ刷新やロゴ変更といったリニューアル施策に取り組んできたものの、売上の伸びにはつながらず、より根本的なブランド戦略の見直しが求められていました。さらに、社内外で共有できるブランド定義が存在せず、人事異動のたびに口頭で引き継がれる状況が続いた結果、部署ごとにブランド理解が異なり、ブランド体験の一貫性が失われていました。その影響は外部パートナーとの連携にも及び、ブランドサイトや店頭販促物、各種プロモーションにおいても、世界観やメッセージが統一されないという課題が顕在化していました。

FICCはこれら課題を解決するため、人事異動や組織変更があってもブランド資産が失われず、継続的にブランドを育てられる仕組みとして、ビジネス戦略からブランド体験を導き出すブランドマネジメントツールとして「ブランドコミュニケーションガイドライン」の開発をご支援。ガイドラインでは、ブランドのビジョンや提供価値、コミュニケーション戦略などを体系的に整理し、ブランドの意図や表現を社内外の誰もが理解・展開できるように可視化。このガイドラインを基盤に、ブランドサイトや店頭販促物、バナーなどのクリエイティブを開発することで、ブランドの世界観を一貫して顧客に届ける仕組みを構築しました。

これらの取り組みによって、ブランドの強みを再発見できただけでなく、関係部署や外部パートナーと共通言語とビジネス指標を共有し、協働できる体制が整備されました。制作の効率性と精度も向上し、ブランド価値を継続的に高め、ブランドの持続的な成長を叶える基盤が生まれました。

ブランドの再定義。「誰のために、何を実現するか」を取り戻す

競合がひしめくスキンケア市場の中で、ブランドが持つ誕生背景や独自価値を掘り下げ、ブランドが「誰のために・何を実現する存在なのか」を明確にすることが、ブランド再構築の出発点でした。

課題の根本は「見た目の統一」ではなく、“ブランドの意味を一貫して伝える仕組み”が欠けていたことにありました。そこで、機能的なベネフィットのみならず、情緒的・社会的ベネフィットまでを整理することで、機能中心のマーケティングから「ブランドの意義」を伝えるコミュニケーションへの転換を図りました。

デザインルールだけでは伝わらないブランドの“核”を、言葉と体験の両面から定義し直すことで、「ブランドコミュニケーションガイドライン」が、ブランド担当者にとっての共通言語として機能し、ブランド定点調査や販促企画、社内引き継ぎなど、あらゆるブランド活動を支える基盤として機能し始めました。

ブランドコミュニケーションガイドラインによるブランド戦略と体験目標の可視化・共有

参考:ブランドコミュニケーションガイドライン開発 | サービス | FICC

「ブランドコミュニケーションガイドライン」の価値のひとつに、ブランドのビジネス活動に関わるあらゆるステークホルダーが、自身の立場からブランド価値と体験目標を理解し、同じ方向を向いて行動できる点があります。

ブランドの体験を統一していくためには、「何のためのブランドか」「どんな社会的価値を提供するのか」「どのように伝えていくのか」という根本的な動機を、全員が自分ごととして理解している必要があります。

一方で、経営層が掲げるビジョンや方針が、現場での業務にまで接続され切れていないケースは多く存在しています。「ブランドコミュニケーションガイドライン」は、こうした課題を解消し、ブランド戦略と体験目標を可視化・共有することで、全社的なブランドマネジメントを実現するメソッドとして機能しています。

戦略に沿ったコミュニケーション開発とガイドライン設計

ブランドマネジメントの実践には、ブランド価値を具体的に伝えるための指標と表現方法のガイドラインが必要です。「ブランドコミュニケーションガイドライン」では、見た目の統一にとどまらず、ブランドの意味や価値を多角的に表現するための方針を体系化。機能的・情緒的ベネフィットをどう伝えるか、ブランドの人格やトーンをどう設計するかなど、実務に即したガイドラインを整備しました。これにより、コミュニケーション開発の際にも“ブランドの意図”を起点としたクリエイティブ判断が可能となり、各クリエイティブや施策がブランドの世界観の中で統一的に機能するようになりました。

ブランドコミュニケーションガイドラインの納品イメージ

FICCの支援によって、共通言語と持続可能なブランド体制の確立につながる、以下の3つの観点から成果が得られました。

  1. ブランドの潜在的価値の再発見
    誕生背景や思想を掘り下げることで、ブランドが持つ本質的な強みを再定義
  2. 社内連携の円滑化
    部門間・外部パートナー間での認識が統一され、ブランド体験の整合性が改善
  3. クリエイティブの効率化と精度向上
    明確な指針を基に制作できるようになり、意思決定のスピードと品質が向上

ブランドの成果をビジネスに結びつける仕組みへ

ブランド戦略とコミュニケーション開発の成果を持続させるためには、効果計測と改善のサイクルを構築することが重要です。今回構築した「ブランドコミュニケーションガイドライン」を拠り所として、ブランド認知率や購買率、市場シェア率、販路シェア率など、ビジネス指標が戦略通りに改善されているかを定点調査で確認していける仕組みが整いました。「ブランドコミュニケーションガイドライン」は、単なるブランド資料ではなく、企業がブランドの意味を社会的価値と経済的成果の両側面から育て続けるための、生きたマネジメントツールとして機能していくことが期待されています。

お客様の声

「ブランドコミュニケーションガイドライン」があることで、マーケティング部内で担当者が変わってもブランド価値の共通認識が保たれ、戦略の一貫性が担保されました。また、ガイドラインの作成と合わせてプロモーションに活用できるコピーを開発いただき、ブランドの価値を体現する表現を見出すことができました。今後は横断的に活用し、ブランド認知などの指標への反応を確認していきたいと考えています。
ー ブランドプロモーション・調査 ご担当者様

「ブランドコミュニケーションガイドライン」を策定したことで、ブランドが生活者に最も伝えたい価値についての共通認識が社内外で醸成され、ブランドの存在意義がより際立つようになりました。また、販促物の制作においても意図やトーン&マナーが明確に共有され、アウトプットの質が向上しました。ブランドの「ありたい姿」が明確になったことで、施策の方向性や現在の立ち位置を捉えやすくなり、ブランドマネジメントの視点からも大きな成果を実感しています。
ー ブランドマネジメントご担当者様

ブランドの想いを丁寧に汲み取っていただき、細部にまでこだわったランディングページを制作いただきました。製薬会社としての厳しい規制がある中でも、柔軟に対応いただきながら、共に突破口を模索してくださった姿勢に大変感謝しています。ユーザーにとって心地よく、ブランドにとっても誇れるサイトになったと感じています。
ー ブランドサイト ご担当者様

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Brand Strategy & Communication Planning:伊藤 真愛美
Creative Direction & Copywriting:木村 美央良
Brand Communication Guideline & Art Direction:冨田 一樹
Illustration:河田 秋菜
Web Director:高橋 哲也
Web Design:森 江里奈
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