イオングループの共通ポイントサービスであるWAON POINTでは、サービスや組織の拡大に伴い、ブランドが提供する価値や目指す方向性について、関係者が共通認識を持ち、日々の業務やコミュニケーションに活かせる形で整理することが求められていました。
イオンマーケティング株式会社は、その実現に向けてFICCとともにリブランディングプロジェクトを推進。FICCは、事業戦略、従業員の想い、生活者視点という3つの視点を踏まえたブランドコンセプトの策定から、タグライン開発、ブランドコミュニケーションガイドラインの策定、社内浸透施策まで、コンセプトを社内外で一貫して活用していくための一連のプロセスを支援しています。
組織の共通言語をつくり、次の10年の価値創造へ

WAON POINTは、2016年にサービスを開始。その後、サービスや生活者との接点が広がり、事業に関わる部門や従業員の専門性、背景も多様になっていきました。生活者、加盟店、従業員にどのような価値を提供するのかという、立ち上げ時に描かれていたブランドの考え方は、こうした事業や組織の拡大・複雑化に伴い、組織全体で共通認識を持ちにくい状態となっていました。
また、共通ポイントサービスを取り巻く市場では、ポイントの貯めやすさや使いやすさ、還元率など、機能面での競争が続いています。そうした環境のなかで、イオングループが持つ実店舗での接点や、生活者の日常、地域とのつながりを活かし、機能的な価値に加えて、WAON POINTならではの情緒的な価値を明らかにすることも重要なテーマでした。
こうした組織と市場の状況を踏まえ、プロジェクトの目標としたのは、WAON POINTがこれまで培ってきた本質的な価値と、今後創出していくべき価値の両方を捉えた、新たなコアバリューの言語化です。そのコアバリューを組織の共通言語とし、日々の業務や意思決定、今後のサービスやブランド体験の構想へとつなげることで、社内外に一貫した世界観を発信していくことを目指しました。

FICCは、特定の視点に寄ることなく、「イオンマーケティングが描く事業戦略」「従業員の想いやブランドへの認識」、そして「生活者のニーズや実感」という、持続的なブランド成長に必要な3つの視点を包括的に捉えたプロジェクトを設計しました。事業として目指す方向性を踏まえながら、組織の内側にある価値を引き出し、生活者の視点から検証することで、事業の成長と組織の共感を同時に促し、日々の業務や意思決定に活用できるブランドコンセプトを導き出せるよう、プロセスを組み立てていきました。
事業戦略、従業員の想い、生活者のニーズから、ブランドの方向性を描く

FICCは、部門や専門性の異なるプロジェクトメンバーが、それぞれの立場からブランド価値を議論できるよう、複数回のワークショップを段階的に設計しました。
キックオフでは、ブランディングに馴染みのない参加者も取り組みやすい体験を入り口に、WAON POINTの魅力や個性を自由に捉え直しました。ブランドを擬人化するワークを通じて、参加者のなかに自分たちのブランドや他のポイントサービスをあらためて意識する視点が生まれ、リブランディングプロジェクトそのものを身近に捉える土台がつくられていきました。

続くワークショップでは、こうした気づきを手がかりに、WAON POINTが生活者にとってどのような存在でありたいのか、機能的な価値の先にどのような便益や体験を提供できるのかを議論しました。そこで見いだした理想の姿を、WAON POINTが今後担うべき役割やサービス体験のアイデアへと具体化していきました。
ワークショップを通じて整理した仮説は、生活者調査によって検証と事業戦略との接続を図りながら、コアバリューの方向性を導き出していきました。

また、従業員の主体性を活かしながら、組織全体で共有できるコアバリューへと昇華させるため、経営層とも各段階で方向性を共有し、協議を重ねました。プロジェクトを通じて丁寧な合意形成を図りながら推進したことも、FICCが担った重要な支援のひとつでした。
ブランド価値を象徴する言葉「にちじょーずになろう」
こうした検証と合意形成のプロセスを経て、今後のブランド運営やサービス開発の指針となるコアバリューを整理しました。そこで定めた「日常のおトクとワクワクの実感を応援する」という方向性を、生活者が直感的に理解し、共感できる言葉へと発展させたのが、新たなタグライン「にちじょーずになろう」です。

「にちじょーず」は、「日常」と「上手」を組み合わせた言葉です。ポイントを貯める、使うという行為にとどまらず、WAON POINTを通じて、自分の毎日を少し上手に生き、楽しみ、愛する。そのような姿勢や体験をブランドの核として表現しています。
コピーライターの安藤寛志氏との協働により、ワークショップで語られた「生活に寄り添う」「日々の小さな喜び」といった想いを、独自性を持ちながら、誰もが身近に感じられるフレーズへと昇華しました。
遠くにある大きな目標だけでなく、いま目の前にある暮らしを大切にすること。何気ない日々の愛おしさや、そこにある小さなワクワクを見つけること。WAON POINTは、従来のおトクさを、貨幣的・機能的な価値だけでなく、日常の楽しさや心の充足へと広げるブランドを目指しています。
ブランドコンセプトを、サービスと組織の行動へ
策定したブランドコンセプトを、コミュニケーションやサービス、組織の行動へとつなげるため、社内外での活用を見据えた取り組みも進めました。

新たなブランドコンセプトを体現していくため、WAON POINTらしいサービス体験を検討するサービスアイデアワークショップを実施しました。参加者が自由に発想しながら、コンセプトに基づく体験を具体化できるよう、楽しさと創造性を重視したワークショップを設計しました。

また、ブランドが目指す方向性や生活者に提供する価値、コミュニケーションの対象や目的といったブランドマーケティング戦略の要素を整理し、タグラインやブランドステートメントへの理解を深める「ブランドコミュニケーションガイドライン」を策定しました。ブランドのパーソナリティをはじめ、デザインや言葉、サービス体験など、さまざまな生活者接点でコンセプトを一貫して表現するための考え方をまとめ、社内外の関係者が共通認識を持ってブランドを運用するための指針としています。

組織内への浸透に向けては、社内説明会とミニワークショップを実施。参加者がブランドコンセプトを自身の業務と結びつけて捉え、日々の行動へとつなげられるよう、参加型のプログラムとして設計しました。
FICCは、ブランド価値の言語化から、コミュニケーションやサービスへの展開、組織内で活用していくための基盤づくりまでを一貫して支援。策定したブランドコンセプトを実際のブランドマーケティングへとつなげるための土台づくりに伴走しました。今後もFICCは、WAON POINTが目指すブランドの実現に向けて、コンセプトをサービスやコミュニケーション、組織の行動へとつなげる取り組みを継続して支援していきます。
お客様の声
WAON POINTが立ち上がって10年を迎え、あらためてWAON POINTの提供価値を考える必要性を感じ、FICCさまにご協力をお願いしました。
これまで、従業員が自社のサービスに対して感じている想いや展望などについて、じっくりと意見を突き合わせる機会を持てていませんでした。今回の取り組みでは、FICCさまのサポートを受けながら、従業員が部署や役職の垣根を越えて意見を出し合い、WAON POINTが目指すブランド転換について、全社で共通認識を持つことができたと感じています。
今後は、今回出来上がったものを継続的に浸透させていくことが大事だと考えています。外に打って出ることはもちろん、社内への浸透にも継続的に取り組んでいかなければ形骸化していくことも、この10年で気づいた反省点です。そのため、インターナルブランディングにもしっかり取り組んでいきたいと考えています。FICCさまは、そういった視点でも相談に乗ってくださり、信頼できるパートナーでした。
ー イオンマーケティング株式会社 ポイント企画本部長 追田 詩乃様
