1976年の創業以来、クレープ専門店のパイオニアとして全国に店舗を展開し、多くのファンに愛されてきたマリオンクレープ。2026年に創業50周年を迎え、さらなる成長を見据える中で、ブランド強化の課題が浮かび上がっていました。
創業者から新体制へとバトンが渡り、全国で店舗数が急速に拡大していく中、マリオンクレープでは「理想的な価値提供」に対する共通認識が十分に形成されておらず、店舗によって接客品質にばらつきが生じていました。どの店舗を訪れても同じブランド体験をお客様に届けるためには、接客品質が一貫して担保されている必要があります。そのためには、まず「ブランドが顧客に対してどのような付加価値を提供すべきか」を明確にし、現場で働く従業員が理解して価値提供をすることが欠かせません。
そこでFICCは、社員やアルバイトスタッフを巻き込んだ共創型のブランド再定義ワークショップを提案。「マリオンらしさ」とは何かを従業員全員で考え、ブランドコンセプトと行動指針を策定しました。さらに、現場で行動指針を日常的に振り返ることができるオリジナルグッズも制作し、理念の浸透と組織の一体感を高める仕組みづくりを支援しました。

ワークショップを通じて、内発的動機を軸に自分たちでブランドを再構築
マリオンクレープのブランド再定義にあたり、FICCは「ブランドマーケティング」の考えと「内発的動機」に基づくワークショップを設計しました。FICCは、インターナルとアウターを分断せずに内側からも外側からも共感されるコーポレートブランドをつくることを大切にしています。
今回は、まずマリオン社内のアンケートや市場調査を行い、現状の認識や価値観を把握。その上で、現場で働く従業員が「どうありたいか」を起点として「マリオンらしさ」を自らの言葉で再発見できるプロセスを設計しました。こうした共創型のアプローチを通じて、マリオンのブランドコンセプトと行動指針を導き出しました。

2日間にわたり実施したワークショップには、マリオンの社員やアルバイトスタッフを含む26名が参加しました。
初日はブランドコンセプトの策定の前提となる「マリオンのブランド価値」を抽出しました。
マリオンクレープの魅力や強みを言語化し、参加者同士で共有することで、ブランドに対する共通認識をつくることを目指しました。個人ワークとグループワークを組み合わせ、自由に意見を発散していくプロセスを設計。日々現場で働く中で従業員が感じていることを丁寧にすくい上げることで、ブランドの独自価値を発見していきました。

ブランド価値を言語化した後、ワークショップ参加者による投票を通じて、ブランドコンセプトの方向性を選定しました。
2日目は、選ばれたブランドコンセプト案をもとに、「マリオンらしさ」をお客様に感じてもらう行動指針を具体化していきました。コンセプト案を深掘りするワークからスタートし、「そのコンセプトを体現するにはどのような価値観をもって行動すべきか」を「大喜利」の形式を用いて、楽しさの中で連想していきました。
価値観の共有ができた後は、現場で称賛される行動を「MMP(もっとも・マリオンクレープらしい・プレイヤー)」と名付けて、その行動を「〇〇で賞」という構文に当てはめながら考案。参加者自身の言葉で、日常の業務に落とし込める行動指針を見出していきました。

自分たちで決めた行動指針を思い返せるグッズ制作で社内浸透をサポート
2日間のワークショップより、「Fun for Fans!(ファン・フォー・ファン!)」というブランドコンセプトと、7つの行動指針(ブランドマニフェスト)が誕生しました。さらに、これらを現場で自然と意識しながら働けるよう、オリジナルグッズの制作も行いました。

行動指針を日々の業務の中で自分ごととして振り返り、実践につなげられるようにすること。そして従業員同士が互いの行動を称賛し合える仕組みをつくることで、組織全体に浸透していくことを目指しました。

プロジェクト後に実施したマリオン社内アンケートでは、「お客様を大切にして笑顔あふれるお店にしたい」「仕事も自分自身も楽しむ気持ちを忘れない」といった前向きな声が寄せられました。
今後もFICCは、マリオンで働く方々の「内発的動機」を起点に生まれたブランドコンセプトと行動指針が、継続的に組織内に根づくよう、伴走しながら支援を続けていきます。
お客様の声
マリオンクレープは、2026年でちょうど50周年を迎えますが、このブランドの骨格が固まってきたことで、社内の方向性が一つにまとまりやすくなったと感じています。実際、既に「50周年にこんなイベントをやろう」といった声も出始めていて、そうしたアイデアが自然に出てくること自体が、大きな変化だと思います。
今回、FICCさんにブランディングをサポートしてもらって、まずは大きな一歩が踏み出せました。今後も引き続き、お力添えをいただければ幸いです。
ー 株式会社マリオン 常務取締役 中条 幹夫様

