ゴディバ ジャパン株式会社

コンセプトからクリエイティブまで部門横断で再構築。「ゴディバ マルシェ」の “全員で育てる” リブランディング支援

1926年にベルギーで創業し、王室御用達としても知られ、世界中で親しまれるプレミアムチョコレートブランド・ゴディバ。日本でもチョコレートに加え、焼き菓子やドリンクなど、幅広い商品で多くの人に愛されています。

「ゴディバ マルシェ」も、そのラインナップのひとつ。もともとは、国内外のシェフや銘菓とのコラボレーションにより、定期的に新作を展開していた「ゴディバ マンスリー シェフズ セレクション」でした。ブランドのコンセプトをより明確にし、その魅力を伝えていくために、「ゴディバ マルシェ」ブランドの再定義から、ネーミングやロゴ開発、商品パッケージや什器のリニューアルまで、FICCが一貫して支援を行いました。

店頭での印象とコンセプトにギャップ ─ 伝わり方の課題

従来の「ゴディバ マンスリー シェフズ セレクション」は、月替わりのシェフとのコラボスイーツとしての機能的な価値を持ち、顧客からも好評を得ていました。一方で、木を基調としたナチュラルな世界観で店頭ディスプレイを展開していましたが、パッケージが目立ちにくいという声があり、購買時にブランドの印象が残りにくい状態でした。

加えて、ブランドとして伝えるべき情緒的な価値や世界観が、クリエイティブ表現の試行錯誤を重ねる中で方向性が定まらず、その結果、統一感あるブランドイメージを築くことが難しくなっていたのです。

そうした中で、「ゴディバ マンスリー シェフズ セレクション」が持っていた本来の立ち位置 ─ 日本市場のトレンドの変化に柔軟に対応しながら、ギフトとしても、日常へのご褒美としても楽しめる存在 ─ を、改めて見つめ直す必要がありました。機能的価値は維持しながらも、表現の一貫性や世界観に磨きをかけていく。そのために、ブランドとして大切にすべき価値を再定義し、共通認識を持ったうえでの再構築に取り組むこととなりました。

コンセプトからクリエイティブへ ─ 実装まで一貫してご支援

こうした課題を踏まえ、まずブランドの再定義から着手しました。FICCは実装を視野に入れ、ゴディバのプロジェクトメンバーと全7回のワークショップを実施。組織内で共有できる共通言語と判断軸を整えていきました。

ワークショップでは、ブランドの独自性や強みを整理し、ブランドに関わる一人ひとりの内発的動機をを引き出し、言語化していくプロセスを設計。「共感」と「納得」を大切にしながら、ブランドのビジョン・ミッション・バリューを明確にしました。

さらに、参加者全員で店頭に出向き、購買行動をロールプレイして顧客体験を調査。提供価値を効果的に伝えるカスタマージャーニーやトーン&マナーを設計し、ユーザー調査を通じて検証と調整を重ねました。こうして「日常をセンスよくアップグレードする」というコアバリューが定まり、店頭での見え方や伝え方の修正点も明確になりました。

また、ブランドの世界観づくりにおいては、雑誌やイメージ写真を用いたコラージュでブランドイメージを可視化。概念だけでなく具体的なデザイン像までチーム横断で共有することで、セールス担当はどう販売すべきかイメージしやすくなり、商品開発担当も世界観をイメージしたうえで開発に臨むことができました。

これらの成果を踏まえ、後続のクリエイティブ開発へ移行。ネーミングやロゴ開発も、横断メンバーが参加するワークショップ内で意見を出し合い、リアルタイムでデザイン案を起こしてその場で合意形成を行う方法を採用しました。言語だけでは視覚的なイメージが足りず確信を持ちにくい中で、クリエイティブの力により「これならいけるかもしれない」という全員の共通認識と納得感を保ちながらスピーディーに方向性を定めていきました。

最終的にはネーミングを「ゴディバ マンスリー シェフズ セレクション」から定義した世界観に則した「ゴディバ マルシェ」に刷新し、ロゴ、商品パッケージ、店頭什器、Webサイトへと展開し、店頭とデジタルを一つのストーリーで結びました。

また、商品の機能特性上、パッケージの仕様はすべて異なり、コラボ先の意向や実験的な商品開発など変数も多く存在します。そのため、一貫性とブランドの存在感を保ちつつ、あえて「デザインの余白」を残し、日々のアップデートを前提とした柔軟なデザイン方針を採用しました。ブランド特性に合わせたこのデザインメソッドにより、変化の中でも成長を続けられる仕組みを構築しています。

「ゴディバ マルシェ」ロゴ
左上より、店頭什器、ポテトチップス、柿の種、「ゴディバ マルシェ」ブランドページ

部署を越えて育てた共通言語と、変化する現場の反応

このプロジェクトを通じて、部署の垣根を越えた一体感が生まれ、ブランドへの共通認識が各メンバーの中に根付いていきました。「日常をセンスよくアップグレードする」という軸は、メンバー自身が主体的に納得して受け入れたものであり、その結果、ブランドへの理解や関与も着実に深まっています。

リニューアル後のクリエイティブは、デザインの一貫性がブランドの存在感を高め、店舗スタッフからは「お客様が商品を選びやすくなった」という声も寄せられました。什器によって商品の“居場所”が明確になったことも、ブランド理解と顧客体験の向上に寄与しています。また、ブランド発足当初からの狙いであった「自分へのご褒美」として選ばれる機会も増え、ゴディバ全体が今後強化していこうとする方向性に合致するブランドとして、社内でもモデルケースと位置づけられるようになりました。

「ゴディバ マルシェ」は今後も、毎月の商品リリースサイクルを活かしながら、リブランディングで確立したコアバリューと、店舗での反応や生活者の声を基に柔軟に進化していく予定です。FICCは今後も伴走しながら、ブランドの世界観を保ちつつ、伝え方や届け方をともに磨き続けていく存在として支援を続けていきます。

お客様の声

ワークショップを経て、社内のメンバーが想像以上にブランドに対して、熱い想いを持っていることを知れたのが嬉しい驚きでした。FICCさんは、ブランド定義の過程で私たちの間にどんな会話があったか、苦しいディスカッションも楽しいディスカッションも含めて、ブランドをどう再定義してきたかを深く理解してくださっている。だからこそ、私たちのブランドの価値を最も的確に体現できる存在なのだと思います。これからも「ゴディバ マルシェ」のさまざまな挑戦を、ご一緒に重ねていくことができれば嬉しいです。
ー ゴディバ ジャパン株式会社 Emerging Business部 山本 恵莉様

クライアントインタビュー
関わる人と共に育てるブランド ─ コンセプトから実装まで伴走した「ゴディバ マルシェ」のリブランディングプロジェクト
記事を読む
CLIENT
ゴディバ ジャパン株式会社
CREDITS
<ブランド定義フェーズ・ワークショップ支援>
Produce:稲葉 優一郎
Workshop Design:中崎 彩、天沼 竜矢、於保 京平
Workshop Facilitation:稲葉 優一郎、中崎 彩、天沼 竜矢、於保 京平
Concept Research:土屋 有未
Copy Development:木村 美央良、天沼 竜矢(Direction)
Workshop Operations Support:水嶋 未来

<クリエイティブフェーズ>
Creative Direction:天沼 竜矢
Art Direction / Illustration:河田 秋菜
Design:河田 秋菜、森 江里奈、飛鳥馬 俊介
RELATED LINKS
案件やサービスについてお気軽にご相談くださいお問い合わせはこちら

ABOUT US

未来の社会を創造する
「ブランドマーケティング」

  • 持続するブランド
  • 市場を創るマーケティング
  • 共創がつづくクリエイティブ
  • 存在意義の共創

FICCは、人の想いの共創を通じて、企業やブランドのビジネスを成功へと導くブランドマーケティングエージェンシーです。
ブランドの社会的意義による新たな市場を創造する「ブランドマーケティング」の考えと、20年以上にわたる実績で培ったノウハウを通じて、企業のブランディングやマーケティング活動の支援、さまざまなセクターの方々と未来に向けた取り組みを行っています。