企業の「中の人」に寄り添う相談相手でありたい。当事者視点と歩み寄りが共感へ繋がるコミュニケーションの秘訣

左:藤本 稀一/右:土屋 有未

FICCには、企業のビジネスリーダーに対して戦略フェーズからサポートし、事業成長に必要なナレッジやフレームワークを提供することで「マーケティング力を向上させる」、マーケティングナレッジ開発事業部があります。この事業部のメンバーである事業部長の藤本 稀一と土屋 有未に、現在事業で行っていることやお互いが大切にしているコミュニケーションについて、そして今後の展望を聞きました。

バックグラウンドを強みに事業に携わるメンバー

ーー事業部でのお二人の業務について教えてください。

藤本:
マーケティングナレッジ開発事業部で事業部長をしています。遡ること6年前の2016年にAgency事業が設立されたのがこの部署の始まりです。その後、2017年の「代理店事業部」を経て、2020年に現在の「マーケティングナレッジ開発事業部」となった変遷があります。

この事業のニーズは、企業からするとまだ顕在化していない部分が多々あると思っています。2021年の今期は、改めてニーズの掘り起こしを重点的に行い、事業部をどのように成長させていくのか、クライアントとの関わり方を再考し固めていきました。私自身、FICCのようなエージェンシー側ではなく、企業側でマネジメントを行っていた経験があります。ビジネスリーダーの漠然としたマーケティングの悩みに対して、「中の人」として30年程マーケティングに携わっていた経験を活かし、事業成長に貢献できるよう業務に取り組んでいます。

土屋:
コンサルタントアシスタントとして、クライアントの窓口となり、課題解決のためのソリューションの提案・実行を主に担当しています。案件が始まってからの具体的な業務としては、戦略にアラインした調査の設計や、クライアントの課題に応じたレクチャーの実施などを行っています。また、クライアントと対面する中でFICCで解決できないことは、信頼できるパートナー企業を紹介したり、マーケティング力に関して課題を感じられているパートナー企業へのナレッジのシェアなど、クライアントとパートナー企業とFICCがWin-Win-Winになるような取り組みもしています。

ブランドに関わる人の想いを社会的・経済的価値に繋げるためには、融資と同じくらい組織にブランドマーケティングの力が必要だと考え、金融機関の営業から転身しFICCにジョインしました。

悩みを抱える孤独なマーケティング担当者の相談相手になりたい

ーー具体的に、企業のビジネスリーダーはどのような悩みを抱えているのでしょうか?

藤本:
企業のビジネスリーダーは、売上を上げるために常に最適な方法を模索しています。その中でポイントになるのは「どのように戦略を立てていくか」と、その戦略の社内合意を得るため「上司や経営層を説得する客観的な計画」が必要です。

特にマネージャークラスになると、客観的な判断が難しいことが多くあるのではないでしょうか?立場的に優柔不断な発言が出来ないため、相談相手が少なく孤独な側面があります。私の経験談にはなりますが、前職が海外企業に買収された際にブランドマーケティングを学び直す機会があったんです。その後、担当したブランドは成長し事業成長へと繋がった経験がありました。私自身が「中の人」としての苦労も知っているからこそ、一歩現場に寄り添った仕事をしたいですし、そんな方々の「相談相手になります」が私たちの役割だと考えています。

土屋:
このコロナ禍ということもあり、ビジネスの変革を求められており、新規事業の立ち上げやD2C、BtoBからBtoCへシフトしなければならないというなかで「何をやっていいかわからない」と切羽詰まっている方も多い印象です。すでに外部に助けを求めて、たくさん提案をもらっているけれど期待する事業成長ができず「手を尽くしたけれどどうにもならない」という方もいます。事業成長が思うようにいかず、マーケティング力を向上したいと思っているビジネスリーダーに対して、「ブランド戦略クアドラント」や「パーセプションフロー®・モデル」などのフレームワークを提供しています。

藤本:
私たちの成果物はクライアントのマーケティング力の向上です。本当に必要なのは施策を「積み上げる」のではなく「積み重ねる」こと。「効果がありそうな施策を積み上げる事で、ついついごまかしがちな現状を変えたい」と考える方に向けて、戦略設計ワークショップを行い、関係者の認識・方向性を揃えて戦略がきちんとワークすることで組織が勢いづくための事業成長サポートを行います。

悩みを顕在化する「中の人」の視点と「人との付き合い」を意識したコミュニケーション

ーー業務内外で日々多くの方々と接するなかで大切にしていることを教えてください。

土屋:
クライアントの「潜在的なニーズを顕在化するためにはどうしたらよいか」を考えたコミュニケーションを常に意識しています。藤本さんと二人三脚かつ密なやりとりをすることで、彼の「中の人」視点での意見にいつも助けてもらっていますね。例えば、製造業では四半期ごとに決められたタイムラインがあったりするので、その時に発生しうる問題を一緒に想定しながら、クライアントの悩みを踏まえたタイムリーな提案をするようにしています。その結果もあって、クライアントからの共感が価値提供に繋がっていると感じています。

社内のコミュニケーションでいうと、日々のクライアントワークや事業部内で新しく生まれたナレッジを社内に展開するというところを意識しています。マーケティングナレッジ開発事業部は「開発」という文字が入っているように、フレームワークやナレッジを開発していくことがミッションです。社内展開の際は、全員が使えるように落とし込むことを心がけています。

藤本:
社内外問わず「笑うポイント」を大切にしています。何事においても笑いのポイントをつくっておくということは、楽しい感情がポジティブに働きかけることだと思っています。会った時に「楽しい」と思ってもらえる存在になるよう、セルフブランディングを大切にしていますね。

実際のところ製品の細かい機能や性能も大切ですが、ブランドが「その人にとって意味がある」と思ってもらうことが大切じゃないですか。人との付き合いが共感を生みベネフィットに繋がるのは、ブランドマーケティングと同じことだと思っています。昔は商品について一生懸命説明していたのですが、途中からシフトして自分という人間を通して、そのブランドを持っていたらハッピーになると思ってもらえるよう努力するようになりました。相手が楽しいと思うポイントは人それぞれだからこそ、少しずつ歩み寄りながらその人のことを知っていくことが大切だと思っています。

社内では土屋さんに対しても、MTGでZoomの背景を工夫して笑いを取りにいっています(笑)。フルリモートならではのコミュニケーションですよね。

土屋:
たまに普通の背景だとびっくりします(笑)。

藤本:
もうひとつ意識しているのは、「呼び名」です。年上年下関係なく、苗字に「さん」の敬称を付けて呼ぶようにしているんですよ。全ての方に対して分け隔てなく敬意の意味を込めているからなんです。経験やスキルの多い少ないはあるかもしれないですが、その人の考えや想いを大切にしたいと思っています。

土屋:
藤本さんの「家庭でも同じ考え方」という話が素敵だなと印象に残っていて。親と子の関係性だと、人によって親の方が偉いと思う方もいるかもしれませんが、家族に対しても「さん」を付けているんですよね?

藤本:
そうですね。娘に対しても同じで、名前に「さん」を付けて呼んでいます。

ナレッジで組織をサポートし、組織だけでなく「社会そのもの」を変えていく

ーー事業部として一個人として、今後の展望を教えてください。

藤本:
現在画期的なサービスを企てていますが、もう少し温めていずれお伝えできるようにしたいと思っています。それを前提として、企業が求めているマーケティングのナレッジ開発をしていくことが必須です。 今はパーセプションフロー®・モデルとブランド戦略クアドラントを主軸に提供しているのですが、さらに例としてSDGsに取り組むために必要とされるような、ナレッジやフレームワークの開発を続け多くの企業の業績を伸ばせる状態をつくっていきたいと考えています。

土屋:
今まで、企業内のひとつのブランド支援で終わってしまうこともあったので、そのブランドの成功を横のブランドに展開することで企業としてのマーケティング力向上に貢献したいと思っています。そう考えたきっかけは、ある消費財メーカーの案件でご担当者様とお話していたときに、部署間での隔たりがあることが課題だとお伺いしたことでした。それまではブランド単位で解決できる課題ばかりだと思っていましたが、ひとつのブランドだけ成功しても組織全体が変わらなければ解決できないものだと知りました。マーケティング力を向上させたいというクライアントの根本的な課題は組織全体として見なければ解決はできないんです。ブランド単位の悩みを解決することを得意としている事業部だからこそ、そのナレッジを使いながら組織全体をサポートすることで、ひいては「社会を変えていく」というところに貢献できるのではないかと考えています。

抽象的ではありますが、FICCの強みであるマーケティングの資源に「中の人」の想いをきちんとのせて、一人ひとりの想いが実現される世界を作りたいと思っています。私が金融業界から転身したきっかけにも通じるのですが、クライアントの「こんな未来を実現したい」という熱い想いは金融というソリューションだけでは解決できません。ブランドマーケティングでならその想いを実現できるんじゃないかなと。私自身この仕事は、組織や社会を変えていく実感が持てる仕事だと思っています。「一人ひとりの想いが実現されることで、より良い社会が実現できる」、そう信じています。

執筆:深澤枝里子(FICC) / 撮影:後藤真一郎