未来の描き方 〜ビジョンを持つ

本記事は資生堂ジャパン株式会社 執行役員 マーケティング本部長(CMO)の音部大輔氏による寄稿記事となります。

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無目的について

そもそも人間は無目的に生まれてきます。もう少し正確にいえば、目的を認識しない状態で生まれてきます。認識能力が高まるにつれ、多くの人は何のために生きているのか、といった人生の根源的な疑問を持つようになります。思春期の頃に、何だかよくわからないまま「哲学」が気になったりもします。学校を出て就職し、あるいは自分で仕事を始めたりする頃には、この疑問には慣れっこになって、頻繁に意識に上ることも減ってくることでしょう。実際、この疑問に答えを持たなくても大きな問題は発生しないことが、経験的にも分かってきます。人生の目的は曖昧なまま、社会の一般的な期待に応えることに集中していきます。とりあえず目の前の試験に受かり、とりあえず目の前の仕事で大きな失敗をしないようにしておけば、毎日はそれなりに平穏に過ぎていきます。去年と同じような今年が過ぎ、同じような来年がやってきます。それはそれで、とても人間的で素晴らしいことだと思います。

同様に、目的が曖昧なまま仕事をしていると、具体的なプロジェクトやビジネスアクションについても、明確な目的を意識しないままで平気になっていくのかもしれません。今年も春に新商品の導入があったし、去年にも新商品の導入があったので、来年も同時期に新商品導入を企画しないと、といったきっかけでプロジェクトをスタートするのは、めずらしいことではありません。

去年の企画が来年の企画を始めるきっかけでも問題ありませんが、なぜこのプロジェクトを始める必要があるのか、という目的を明示していた方が「成功」を導きやすいことは事実です。成功とは、予定を実現し、期待を超えていくことです。目的なく実行してしまうと、成功したのかどうか、本当はうまく判断できません。それなりに売れたから成功、赤字が出たので失敗、と漠然と判断してしまうかもしれません。心地よい疲労感とチームの一体感が、見事な達成感をもたらします。でも、それだけではビジネスとして「成功を管理できているか」というと、そうではありません。成功を管理するためには、成功を測る指標である「目的」を明確にすることが不可欠です。適当に売れていたとしても、本当はもっと売れたかもしれません。赤字になってしまっていたとしても、効果的な回復策によって大赤字を回避した成果かもしれません。

目的あるいは目標の根拠

目的は記述的であるかもしれませんが、それを数値化し、解釈の余地なく表したものを目標と呼びます。「リピート率を持続的な利益成長を維持できるレベルまで上げる」という目的に対して、「リピート率を現在の25%から30%まで改善し、かつ、利益率は現在の10%を持続的に成長させるため11%を目指す」という目標を設定する、といった事例などがあるでしょう。両方を明確にしておくことは、成功を定義することと同義です。ここでは、リピート率が30%になり、かつ利益率が11%以上であれば成功です。売り上げやトライアル率が多少下がったとしてもいいのです。もし、売り上げやシェアも重要なのであれば、そのように設定しておきましょう。これで、何をすればいいのかが確定できました。課題が定義できた時点で半分は解けたようなものだ、という言い回しがありますが、目標の設定でも同様です。成功の定義ができれば、半分は達成できたようなものです。

難しいのは、なぜその目的や目標が「正しい」目的や目標であるのか、根拠を示すことです。ここでは、なぜリピート率であり、なぜ利益率なのか。なぜトライアル率やシェアではないのか。プロジェクトごとの目的や目標設定をするときに、重要な根拠となるのが組織のビジョンです。

ビジョンの役割

ビジョンの重要な役割は、プロジェクトごとの目的の正当性を説明する根拠を提供することです。それぞれのプロジェクトは、組織や企業のビジョン達成に貢献するから実行する意義があるのです。組織や企業のビジョンに寄与しないプロジェクトは、その組織や企業が積極的に実行する理由に欠けます。ビジョン達成に必要ではないのですから、やらなくていいプロジェクトと言っても過言ではありません。

プロジェクトの正当性を担保する以外にも、ビジョンが明確であるといいことがあります。社内外のステークホルダーに、組織が目指す状態を明示できます。「我々は何を実現するために存在しているのか。」この質問は、冒頭の「なんのために生まれてきたのか」に似ています。人間と違い、企業は何年でも何百年でも存続することが可能です。生物学的な寿命がないから当然です。ブランドも同じことです。いずれも細胞分裂の回数で規定されるような、あらかじめ定められたライフサイクルを持ちません。経営学では企業の普遍的な目的は存在である、という考え方があります。株主価値至上主義の会社や、消費者満足至上主義の会社で働いていると、「企業の存続が至上目的だ」と言われると少しばかり驚きます。とはいえ、寿命が決まっていないのであれば、存在を続けるというのは組織の至上目的として理解できそうです。

せっかく永続するのであれば、どのような存在として存続したいのかを示すことで、企業を取り巻くいろいろな協力を得やすくなることでしょう。組織は人で構成されていて、人で構成された社会の中に存在しています。自由意志を持った重要なステークホルダーから効果的に支持を得るためには、自分たちがどのように支援して欲しいのか理解してもらわなくてはなりません。ビジョンを示すことで、それが分かりやすくなります。

また、支援をする立場からすれば、支援の見返りがわかっていた方が支援のしがいも強くなります。世の中や自分にどのような貢献があるのか、分からなければ支援しようという気にもならないでしょう。社員にどのようないいことがあるのか。取引先や消費者にどのようないいことがあるのか。社会にどのようないいことがあるのか。これらは、ビジョンで示すことができます。

いいビジョン

目的や目標は、その正当性をビジョンに依存していると説明しました。ビジョンがないと、単体のプロジェクトの目的の正当性が不安になるだけでなく、複数のプロジェクト間の一貫性も保てなくなります。このプロジェクトがあのプロジェクトと相乗効果を発揮できると、有限な資源を効果的に使うことにつながります。

では、ビジョンは何を持ってその正当性を担保すればいいでしょう。言葉の定義の問題でもありますし、様々な考え方があると思われますが、私はビジョンには理屈や論理的な説明はいらないと考えます。ステークホルダーがそのビジョンを聞いた時に、「あぁ、素晴らしい。それを実現したい。」と共感できれば十分です。言い換えれば、説明抜きに共感できるか否か、がいいビジョンか否かの分かれ目であると言ってもいいでしょう。説明がない分、楽に作れるようにも思えますが、説明がなくても共感できるように作るのはそれなりに難しいものです。

また、説明力の強さも重要です。「お客様第一」、つまり顧客満足を至上の価値とするのもいいですが、そのためには全ての活動をお客様第一で説明できるようにしておく必要があります。例えば、「お客様は低下価格で高品質な商品を望まれているけれど、利益が出ないので価格を上げないといけない」といった説明が現実的には発生しそうです。でも、これではお客様第一ではなく、利益第一ですから、明らかにビジョンに反しています。これではちょっと白けてしまいます。利益が重要なのであれば、ビジョンに利益の話を入れておくべきでしょう。

では、お客様第一や顧客満足至上主義は営利団体のビジョンとして成立しえないのか。そんなことはありません。企業の普遍的な目的は永続ですから、お客様第一も永続性とともに説明されるべきです。顧客満足を持続的に最大化し続けるためには、単年度の顧客満足度を最大化するだけでは不十分です。今年もそうですが、来年も再来年も何十年後も、顧客満足を最大化し続けるためには、毎年相応の利益を確保して将来の顧客満足を担保しなくてはなりません。そのためには、新商品の開発や社員の育成を続けることが不可欠です。こうした説明であれば、ビジョンとの一貫性を担保できます。

ビジョンの作り方

ビジョンの作り方は一つではないと想像しますが、①組織長の意図を表す、②組織の成員の願望を体現する、そして③社会の期待に応える、という三つの要素が含まれていると共感しやすくなると思われます。そして、その意図や願望や期待は、「企業や組織が存在する場合と存在しない場合で、それぞれのステークホルダーや世の中にどのような変化を期待できるか」という問いに答えることで明確にできるでしょう。ビジョンは、「ある場合とない場合の差」を最大化することです。一つの文章で示すことができればそれに越したことはありませんが、三つに分かれていても良さそうです。

表現としてはシンプルで、あまり解釈の余地がないのがいいでしょう。時代を超えて存在するためには、それぞれの時代に即した解釈の余地を残していると時代を超えて適応しやすいと思われます。とはいえ、詩のように読む人によって解釈が変わっては困ります。ビジョンは魅力的であるべきですし、士気を鼓舞するものでもありますが、詩ではありません。

共有する

ビジョンを具現化するためには、組織内に浸透させる必要があります。端的で覚えやすい文章で示し、折に触れて言及し、覚えてもらうようにしましょう。組織の成員それぞれが、ビジョン達成のために何をすればよさそうか、自発的に考えられるようになればとても良い兆候だと言えます。

まとめ

ビジョンは説明抜きでも共感できる詩的な装いの論理的なステイトメントです。うまく設定することで、組織に存在理由を提供し、各プロジェクトに正当な目的を与えることができます。組織の成員の士気を高め、顧客を含めたステークホルダーから支援をしてもらうのに役立ちます。どのような変化を社会にもたらしたいのか、じっくりと考えてみましょう。

説得する力 : ワンページメモライティング

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わたしたちの仕事は何か?

どんな職業にも共通する、欠かせない仕事があります。NYタイムズ・ベストセラー作家のダニエル・ピンクは、著書の『人を動かす、新たな3原則』の中で、私たち誰もが日常的にセールスを行っていると述べています。販売や営業職のように、直接顧客を説得する職業以外でも、誰もが上司や同僚、友人や家族など、様々な協力者に自身の考えを売り込みながら、物事を進めているのです。

わたしたちの仕事は「説得」

私たちの仕事は、相手を「説得」することです。客観的な事実を述べ、相手に自らの意思でその行動を変えてもらいます。そのためには、たくさんの情報を集め、簡潔に、順序立ててその情報をまとめ上げ、相手の心が動くように伝えます。この中で最も重要なのは、情報を正しく「順序立てる」ことです。情報を正しく整理することができるようになれば、どんな相手でも説得できるでしょう。

態度変容のプロセス

正しい情報の順番は、説得する相手の態度変容の流れに沿っています。新しい提案を受ける相手が、その承認に至るまでには、少なくとも5回の態度変容が起きます。説得のために、どの段階の情報が重要であるかは、相手によって異なります。それぞれの段階と、その段階における情報の役割を理解することで、説得力のある提案を作ることができるのです。

提案相手の理解

提案を考える上で、何よりも重要なもは提案相手の理解です。誰にでも成功するテンプレートは存在しないため、プレゼンテーションの内容や口調、強調するポイントなどを相手の特性に応じて変え、決裁者が最も受け入れ易いものへと仕上げていきます。

提案に対する意思決定には、論理的な側面と、感覚的な側面があります。提案の内容が如何に素晴らしくても、相手の理解を怠り、不愉快にしてしまえば、承認されることはないでしょう。また、どれだけ相手に気に入られようが、筋の通っていない提案も、決して通ることはありません。

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論理的にも、感覚的にも受け入れられる提案を作るためには、相手が解決したいと思っている課題、専門用語や専門知識に対するリテラシー、そして、意思決定を行う際に重視する点などをあらかじめ理解しておく必要があります。

相手が求めている提案は、新しさや革新性に富んでいるでしょうか。又は、全ての問題点やリスクがカバーされているでしょうか?相手が信頼する人物や組織に推奨されているでしょうか?セオリーではなく、実証済みでしょうか?失敗の確率は可能な限り低いでしょうか?重視する点は人それぞれで、事前に相手をしっかりと理解することで、提案で強調すべきポイントを知ることができます。

提案のタイトル

提案のタイトルにも、相手の重視点を含めるようにしましょう。タイトルは提案の内容を伝え、期待値を設定するだけでなく、相手の好奇心を刺激する役割も持っています。あえて情報を欠落させることで、プレゼンテーションを開始する前から、相手の強い興味を獲得することも可能です。できるだけ簡潔に、相手の強い興味を獲得するタイトルを作成しましょう。

提案の目的

次に明確にすべき点は、提案の目的です。ここでは施策の目的ではなく、提案自体の目的を定義します。例えば、新商品のプロモーション施策を提案する場合、目的は「売り上げ目標の達成」などではなく、「プロジェクト予算の承認」などになります。相手に何をして欲しいかを定義し、提案の目的とします。目的が予算承認であった場合、提案にはROIのシミュレーションが必要であり、販促物のビジュアルなどは不要であることがわかります。目的を正しく定義することで、提案に含める内容を決めることができるのです。

問題の提起

人は何かを得るよりも、抱える問題を解決するために動きます。これから受ける提案を、自身が抱える問題のソリューションとして認識してもらうために、問題を以下のように描きます。

相手に強い印象を与えるためには、自ら問題に気付かせるべきです。そのためにはWOWファクト(直訳すると「驚きの事実」)を使います。WOWファクトは、「情報の新規性」と「気付きを与える文脈」を含んだ客観的情報です。例えば「2020年の国内新車販売台数は400万台を下回る見込みです」は単なるファクトであり、新しさや、気付きを感じることはありません。これを「1990年に800万台を記録した国内新車販売台数は、2020年に400万台を下回る見込みであり、可処分所得の減少推移と相関しています」とするとどうでしょう。新車に対する需要が経済的な理由で半減していることがわかります。このような客観的な事実に基づく「気付き」を与えることで、相手に問題を認識してもらうことができるのです。

次に、問題解決に取り組まなければ、どのような結果が待ち受けているかを、客観的事実として伝え、問題に「煽り」をかけます。新車販売台数の例であれば、需要の減少に伴う収益減は目に見えており、今後の更なる競争の激化、EVやロボットカー市場の拡大、GoogleやAppleなど異業種の参入、新たな環境基準への対応なども考慮すると、従来のビジネスのままでは、成長が不可能であると言えます。ここで、提案の相手が抱えている目標(ビジネス成長)が、達成不可能(又は困難)になると理解してもらえれば、問題の重要性を認識し、解決法に対する欲求が生まれます。

最後に、問題解決の糸口となる機会について説明します。新しい技術の登場や、市況の変化、競合の活動、法律の変化など、外的要因によって齎される機会は、再現不可能なものばかりです。その時にアクションを取らなければ、機会を失うことになるため、提案は潜在的な損失を回避するものと認識されます。例えば、カーシェアリングの利用者が毎年25%増えており、5年以内にはサステナブルなビジネスとなるが、未だ車メーカーの積極的参入はない、などと言えるかもしれません。

解決法の定義

相手が解決すべき問題を認識すれば、商品やサービスをソリューションとして提案することができるようになります。ソリューションに対するニーズが顕在化された相手に、強い印象を与えるため、提案はシンプルなワンフレーズにまとめます。行うことと、得られる結果の順で表記することで、相手を安心させることができます。逆の順番で伝えてしまうと、結果を聞いた際に、異なる手法を思い浮かべてしまう可能性があり、違和感が残ってしまいます。必ず「◯◯を行い、◯◯を達成する」という流れで提案をしましょう。

不安要素の払拭

最近amazonで購入したものを思い浮かべてください。できれば少し高額で、比較検討をしたものを。その商品を検討する際に、あなたはネガティブなレビューも読んだはずです。しかし、そのネガティブなレビューを読んだにも関わらず、購入に至った理由は何でしょうか?ネガティブなレビューを信じなかったから?ポジティブなレビューの方が多かったから?いいえ、ネガティブなレビューに書かれていたことが「許容範囲内」であり、買わない理由がなかったからでしょう。

提案には、意思決定に必要な情報を全て含め、拒否する理由を1つずつ潰していきます。一般的な提案書の場合、スキーム、概算コスト、スケジュール、体制図などが含まれます。これらの情報をただそのまま記載するのではなく、相手がコスト、デメリット、リスクなどの不安要素が許容範囲内であると認識できるよう、表現を工夫します。コストの場合は、支出予定の金額だけでなく、得られるリターン、又は期待できるコスト削減について伝えましょう。スケジュールも期間だけでなく、十分な時間をとることで回避できるリスクなどを記載し、許容範囲内に収めて行きます。デメリットがあっても、メリットの方が多く、提案は複数の選択肢の中でも最善のものであることを伝えましょう。提案書を書く前に、相手が抱える可能性のある不安要素をリストアップし、払拭に必要な情報を洗い出しましょう。

拒否の不合理化

多くの人は、自分が合理的でありたいと思っています。提案を拒否することが、不合理なものだと思うと、断ることがとても難しくなってしまいます。例えば、オリエン資料や、インタビュー記事などから、提案内容に沿った相手のの発言や指示をピックアップし、提案内容の根拠とすることができます。同様スキームの成功事例や、経済的利益を描くシミュレーションなども含まれていれば、提案の拒否は更に難しくなるでしょう。ここにもテンプレートは無く、相手が重視する点などに合わせ強調するポイントを選びましょう。

同意の獲得

提案を断ることができなくても、回答を先延ばしにすることはできます。提案に対する同意を、その場で得ることができれば、実施の確率は大きく高まります。同意を得る方法にも幾つかの種類があります。一つは、相手に「担当者のアサイン」など、その場で対応できる、簡単なタスクを期限付きでお願いすることです。対応をしてもらうことで、相手からボールを取り戻し、プロジェクトの実施に向けて勢いをつけることができます。また、全て同意につながる選択肢を提示し、目的の行動を獲得することができます。例えば、提案中のプロジェクトを進めるために、担当者レベルのミーティングを実施したければ、相手に①打ち合わせに同席する、②ビデオチャットなどで参加する、③同席せず、後ほど議事録の共有を受ける、というような選択肢を与えます。実施しない場合は、相手が自ら4つ目のオプションを考えなければならなくなるため、どれかが通ります。

提案内容自体にバリエーションを持たせ、相手に論理的な選択をしてもらうこともできます。複数案の提出は一般的なものですが、良い提案が相手に主観的な判断を求めることはありません。A案とB案のどちらが好きか、ということではなく、どちらが目的の達成に最適か、という客観的な判断を求めるべきです。こちらで判断が付かないということは、相手の好みがわからないということではなく、判断するための情報が足りていないということになります。こちら側が持ちあわせていない情報を分岐点に、アイディアやクリエイティブを分けることができれば、相手に客観的な判断を求めることができます。最後に、規模の大きい提案の場合、なかなか同意が得られないまま、時間ばかりが経過してしまうことが往々にしてあります。この場合、小さな規模で試験的な実施を行い、ある条件を満たした場合に全体を実施するという提案をします。相手が小規模な実施と、条件に同意すれば、全体の実施に同意したことと同じです。

提案資料を作る前に、テキストで上記の内容を1ページにまとめ、説得に適した情報の流れを作りましょう。テキストで情報を簡潔に、順序立ててまとめることで、相手の説得に適した提案書を作ることができるのです。スライド毎に、伝えたい情報、感じて欲しいイメージを定義して、初めて、パワーポイントでの作業へと移ることができます。

スライド

提案書テンプレート

成長スピードを倍にする新人スタッフのトレーニング

新しく会社に入ったスタッフが充分なパフォーマンスを発揮するためには、組織や業務に馴染む期間が必要です。そのため、多くの企業では入社したスタッフに一定のトレーニング期間を用意し、業務のフォローを行っています。トレーニング期間を設けていない組織では、スタッフは実務の中で少しずつ組織や業務に適応しなければなりません。その場合、失敗から学んだり、上司より逐一指導を受けたり、トライ&エラーを繰り返して経験を積むことになります。これでは、スタッフがパフォーマンスを発揮するまでに長い期間を要しますし、なにより、顧客やクライアントとのビジネスの中でトライ&エラーを経験させることは大きな誤りです。組織は、新しいスタッフがいち早くワークできるよう、事前に必要な情報やスキルを正確に共有し、適切なトレーニングプログラムに務めるべきです。

FICCでは、新しいスタッフの入社後2週間をトレーニングプログラム期間とし、集中的にトレーニングに取り組んでいます。トレーニングの内容は、基本的なビジネススキルから、ポジション毎に必要とされる専門的なトレーニングまで様々です。また、誰が上司にあたり、誰が教育の責任を負うのかを明確にし、業務のフォローアップを徹底しています。

社内で実施しているトレーニングの例

ビジネススキル

専門的なスキル

また、新しく入社したスタッフがFICCにとって新しい知識や経験を持っている場合、講師としてトレーニングを担当してもらうこともあります。一人ひとりが持つナレッジを積極的に共有することで、新しいスタッフを迎え入れる度に組織全体が成長できる仕組みです。

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社内で行っているトレーニングプログラムの様子

トレーニング方法選択の留意点

一口にトレーニングと言っても、方法はいくつかあります。レクチャーの形式を取るものから、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)と呼ばれる、実務の中で上司から指導を受けながらスキルを身につけるものまで、組織によって色んな方法を取っているでしょう。しかし、これらのトレーニングの多くは構造化されておらず、スキルの定着が不完全であったり、指導者によって効果に差が出たりと、結果的に新しいスタッフの一人立ちを妨げることになります。

レクチャー・ワークショップ型トレーニングの問題点

  • 業務との直接的な関連性が無く、トレーニングと業務の関連性が理解しづらい
  • 直近のタスクとの関連性が無く、内容が部分的であるため、トレーニングを業務で活用できない
  • トレーニングで学習した内容がチーム内で共有されないため、活用する機会や、評価を受けにくい
  • 業務ですぐに活用されないため、トレーニングの重要性を理解しづらく、スキルアップにつながらない
  • トレーニング後のフォローアップがされないため、大半のラーニングが失われる

OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の問題点

  • 上司や個人によって、トレーニングの効果にばらつきが生じる
  • 一人の指導方法に一貫性がなく、トレーニングの効果やチームの知識にばらつきが生じる
  • 内容が不正確、不完全であったり、ミスに繋がる習癖やショートカットを含みやすい
  • 上司と新人スタッフ間でスキルのギャップが大きく、トレーニングの内容が理解しづらい
  • 組織全体のスキル向上を目的としたトレーニングの管理が行いにくい
  • 組織内での教育に対する責任の所在がわかりにくく、プログラムが定着しにくい
  • 非効率なトレーニング方法が新人スタッフの大きな業務負荷となる

適切なトレーニング方法

これらの問題を解決するトレーニングプログラムがS-OJT(ストラクチャード・オン・ザ・ジョブ・トレーニング)と呼ばれる方法です。業務と同時進行でトレーニングを行うOJTに加え、事前にトレーニング内容の構造を組み立て、適切なタイミングで適切なプログラムを実施します。FICCがS-OJTに取り組んでからは、新しいスタッフが現場で活躍できるまでの期間をおよそ半分にまで短縮することができました。

S-OJT(ストラクチャード・オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の内容

  • 習得すべきスキルを全て事前に定義し、共有する
  • タスク、スキル単位での標準化されたトレーニングプログラムを作る
  • スキルをマスターしたスタッフを指導スタッフとして任命し、受講スタッフが担当を選択可能にする
  • スキルの習得に向けて、実際の業務タスクを発生させて受講スタッフに実行させる
  • 実際の業務タスクへのフィードバックを通じて、マンツーマンでの指導を行う
  • 業務タスクの結果を通じて、指導スタッフ、受講スタッフの評価を行う

適切なトレーニングプログラムの取り組みには、社内の中心で活躍するスタッフの多くのリソースを割きます。そのため、タイミングによっては、業務を優先し、トレーニングプログラムへ注力できないこともあるでしょう。始めから完璧なプログラムを構築する必要はありません。状況に応じて、まずは優先度の高いスキルから順に取り組んでみてください。

組織において、特定の業務が属人化している状況は大きなリスクです。私たちのようにクライアントのニーズに合わせてサービスを提案するタイプのビジネスでは、多様な課題に対して適切なソリューションを提示しなければなりません。その際、担当したスタッフによってサービスの質に大きなバラつきが生じていては、クライアントのビジネスに貢献できず、信用の低下に繋がります。私たちに限らず、組織で業務を行うビジネスパーソンは、特定のスキルや知識が個人に集約してしまう事態を避けるべきです。一定以上の質を持ったサービスをスタッフ全員が提供できるようにするため、社内独自のトレーニングプログラムは必須と言えるでしょう。

FICCでは、トレーニングを受けて現場で活躍したい熱意のある方をお待ちしております。
興味のある方は是非CAREERSよりご応募ください。

目的設定に使いたいSMARTの考え方

仕事で成果を出すためにはまず目的を明確にする必要があります。当たり前のように聞こえますが、会社組織の中では業務を行うこと自体が目的化したり、漠然とした目的が掲げられたりすることが往々にしてあります。結果、労力が不要に消耗され、パフォーマンスの低下につながります。業務に取り組む際は必ず目的を明確にし、ステークホルダー間での合意形成を徹底しましょう。そのためには目的を常に問い直す習慣が必要です。

What is the Objective?
そもそもの目的ってなんだっけ?

目的を設定する上でSMARTという便利な考え方があります。

  • Specific:具体的で解釈の余地がない
  • Measurable:測定(分解)可能な数値目標である
  • Achievable:利用可能な資源で達成が可能である
  • Relevant:上位目的と合致する
  • Time Bound:期限が設定されている

例えば「売上を伸ばす」は良い目的とは言えません。それぞれが異なる解釈をすることができますし、測定もできないため、どのように達成すべきかがわかりません。「2015年度中に過去3ヶ月購入者数を100万人増やす」という目的の場合、十分な予算さえあれば、効果的な戦略を見出すことができるでしょう。

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SMARTの中で最も重要なポイントは「Relevant:上位目的との合致」です。全ての業務には目的が必要であり、それは組織からチーム、個人へとカスケードします。例えば「2015年度までに収益を10%成長させる」という目的は以下のように細分化することができます。

  1. 既存ユーザーの平均購買頻度をxまで向上させる
  2. 既存ユーザーの平均購入金額をxまで向上させる
  3. 既存ユーザーの平均購入継続率をxまで向上させる
  4. 既存セグメントで新規ユーザーをx人獲得する
  5. 新規セグメントを開拓し、新規ユーザーをx人獲得する

個人や、プロジェクトの目的を設定する場合、上位の目的に最もインパクトを与えるアクションを基に設定します。目的を正しく設定・管理することで、組織全体を同じ方向に向け、パフォーマンスを向上させることができるのです。

優れた仕事のために必要な6つのビジネススキル

優れた仕事のためにはたくさんのスキルを習得する必要はありません。目標を達成し、成果を出すために必要なスキルはどんなビジネスにも共通します。例えば、私たちのように専門的なサービスを提供するエージェンシーでも、商品を販売する事業会社でも、同じように情報を収集し、提案し、プロジェクトを管理し、改善することが求められます。一緒に働くチームのためにも、ビジネススキルの習得は重要です。異なる専門性を持った仲間同士が共通するスキルを持つことで、チーム内の「摩擦」が減り、業務の品質や効率が大きく改善されます。

1. オブジェクティブ(目的を問う)

あなたのチームには目的を意識していない行動がどれだけあるでしょうか?以前から、皆そうしているから。そういう決まりだから。クライアントに言われたから。目的が理解されていない行動の多くは無駄だと言えます。何のために、どれだけのリソースを費やし、何を得ようとしているのか?目的を正しく理解することができなければ、全ての業務において重要である「投資」対「効果」の関係を見ることができません。よほど運が良いか、または競争の無い業界でなければ、資金や時間などの貴重な資源を戦略的に配分する必要があります。しかし、残念なことに目的を問わずに、手法の実現をゴールとしたプロジェクトは多くの企業で後を絶ちません。判断に困ったときは必ず「本来の目的は何か?」と問うようにしましょう。

明確な目的は戦略的な行動を可能にするだけでなく、チームの意識を1つの方向にまとめます。全員が効率的な達成方法を意識し始め、リソースの配分の最適化が行われます。そのため、目的はできるだけ具体的であり、数値目標を含むなど、異なる解釈の余地がないよう設定されるべきです。また、目標は複数ではなく、必ず1つに集中しましょう。複数の目的は判断に迷いを生じるだけでなく、貴重な資源の効果を薄めてしまいます。数値目標は過去の実績から推計を行うのではなく、今持ちうる資源の最適な配分を行った際に得られる理想の結果を定義し、設定しましょう。

2. タイムマネジメント(時間の管理)

ツールなしで時間を正確に管理できる人はいません。そして、自身が業務に使える時間の少なさを正確に把握している人も決して多くはありません。業務において最も重要な資源である自身の時間の有限性を理解せず、感覚的に管理することは、目的を理解せずに仕事をするのと同じくらい無能なことです。時間を正しく管理するためには「タスクの分解」を習得する必要があります。プロジェクトに必要な時間を割り出すためには、内包される全てのタスクを、工数が明確になるまで分解する必要があります。例えば「企画書を作成する」というだけでは何時間かかるかがわかりません。しかし、「リサーチをする」「リサーチ内容をまとめる」「アウトラインを作る」「テキストを書く」「チャートや図形を作る」「スライドの体裁を整える」「確認する」というタスクに分解すれば、おおよそ何時間の作業が必要であるかを理解することができます。

タイムマネジメントを怠ると、チーム全体が外部からの影響を受けやすくなり、プロジェクトが失敗しやすくなります。本来外的要因でプロジェクトが失敗することはなく、時間の管理不足など、効果的な戦略の欠如が原因である場合がほとんどです。時間の管理を徹底し、最短のスケジュールで物事進めることも、リスク回避につながります。パーキンソンの第1の法則は「仕事の量は完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」とあります。プロジェクトに費やす時間の最小化を意識的に実施し、管理しなければ不測の事態を回避するためのバッファを生み出すことはできないのです。時間を削減するためには、常に実現すべき目的を正確に理解し、最小限での達成に挑戦しましょう。

仕事に「待ち」を作ってはいけません。次のタスクが何であるかを必ず自ら理解し、積極的に実施しましょう。相手にボールがあったとしても、「待ち」を許すことはチーム全体の損失となるボトルネックを生み出してしまいます。リマインドや確認を徹底し、チームとしての時間のロスを最小化しましょう。チームリーダーにとってタイムマネジメントは最も重要なスキルだと言えます。同僚や外部の協力者の時間も貴重な資源です。リーダーは先ず自身の時間の管理を徹底し、チーム内のボトルネックの解消と、予期せぬ時間や資源の不足に対応する計画を持つことが求められます。

5分でタスクを最適化するタイムマネジメントの6プロセス : https://www.ficc.jp/blog/time-management-in-5-minutes/

3. リサーチ(情報収集)

利用できる有益な情報を無視して業務を進めることは、愚かで、無責任なことです。ビジネスにおける判断の大半は感覚的なものですが、正しい判断の裏には必ず根拠となるデータや情報があるはずです。質の高い業務は常に綿密であり、たくさんの情報を必要とします。活用できる情報を収集せずに判断を急げば、高い確率で失敗を招くでしょう。

今や大掛かりな調査を行わなくても、市場、ターゲット、競合などの情報は簡単に入手することができます。Googleアラートに自社や競合のブランド名を設定すれば、常に最新情報を受信することができます。Yahooリアルタイムでは消費者の声を聞くことができ、AdWordsのキーワードプランナーや、Googleトレンドではニーズや動向を知ることができます。ほんの少し費用をかければSurveyMonkeyでアンケートを実施できたり(Google Driveなら無料)、SimilarWebで競合サイトのトラフィックを分析することも可能です。また、インターネット上には公共機関や企業が公開しているたくさんの調査結果やデータが存在します。特に競合の動向はこちらの戦略に影響を与えることが多いため、見逃さないようにしましょう。情報収集に必要な労力は、誤った判断の修正に比べれば微々たるものです。繰り返し実施するためにワークフローを最適化し、ルーチンを確立しましょう。

4. プロポーザル(相手を説得する提案)

どんなにすばらしいアイディアも、実現しなければ意味はありません。アイディアの実現には必ず資源が必要であり、多くの場合、自分だけでそれをまかなうことはできません。自分のアイディアを実現し、成果を得るためには、権限を持った人物の説得が不可欠です。相手を説得する提案には、情報を正しい順番で伝える効果的なフォーマットがあります。人は自身が合理的であると信じたいため、受けた提案を却下することが非合理的であると感じさせることができれば、説得できる可能性が格段に上がります。提案を行う際は必ずその目的、提案の背景、提案と具体策、根拠、そして実施すべきアクションを提示します。成功の可能性が高く、経済的利益につながり、相手の戦略に合致するよう作られた提案は、それが最善の選択肢であると思わせることができれば却下されることはありません。

ワンページメモを用いたシンプルで説得力のある提案書の書き方 : https://www.ficc.jp/blog/one-page-memo-for-persuasive-proposal/

5. メジャーメント(数値目標の設定と効果測定)

私たちは数値目標を設定しなければ、それを達成することができません。また、定期的にパフォーマンスを測定をしなければ、細かい行動を修正し、継続的に改善をし続けることができません。効果測定を行わなければ、目標を達成するために投下すべきリソースも、行うべき行動も、その優先順位も知ることができません。大きな目標を達成するためには、目標を分割する必要があります。1つのゴールを追うのではなく、時間やチーム、プロジェクト毎のマイクロゴールを設定し、高頻度な効果測定を徹底しましょう。マイクロゴールを設定することで初めて、その達成に必要な施策やリソースを理解し、的確な判断や軌道修正を行うことができます。パフォーマンスや進捗はチーム全員がリアルタイムで見れるようにし、それぞれが自主的に軌道修正を行えるようにしましょう。ビジネスの様々な問題を解決するためには、細かいマイクロゴールの設定と、効果測定を通じて問題を特定し、適切なアクションを見出す必要があります。確実に成功する方法は、高頻度な効果測定を通じた、細かい軌道修正しかありません。

6. レビュー(成功要因の理解と共有)

「知識は力なり」といいますが、組織の力となる知識は、レビューを通じてプロセス化され、個人からチームへと共有されたものだけです。成功事例は再現できなければ単なる偶然であり、意味がありません。レビューを通じた正しい成功(又は失敗)要因の理解と共有がなければ、組織に価値のある知識が蓄積されることはありません。全てのプロジェクトでは、単に成功したか否かだけではなく、しっかりとその理由を分析する必要があります。また、成功や失敗に解釈の余地が無いよう、全ての施策を時間や資金などの資源に対するインパクト(コスト)と、そのリターンによって分析するようにしましょう。

レビューを行わず、プロセスを構築することができなければ、組織は何度も同じ間違いを犯したり、同じ問題を解決しようと努力し、資源を無駄にします。このような無能な組織では、失敗が連続することは言うまでもありません。プロフェッショナルとは、成功や失敗要因の分析から構築された確実なプロセスを通じて、繰り返し成功を提供できる人物や組織を指します。様々な事態を想定し、将来的な失敗を回避するためにもレビューとドキュメント化は不可欠です。

効果的なミーティングを実施するための10のルール

平均的なオフィスワーカーが非生産的なミーティングに失う時間は毎月16時間。年間では5週間程と言われています。目的が不明瞭であったり、十分な対話が行われなかったり、強いイニシアティブが取られなかったり。様々な理由で参加者のリソースは無駄となり、膨大なリソースの損失が発生しています。

効果的なミーティングを円滑に実施するためには、招集者だけでなく、参加者全員の意識付けが必要です。ミーティングを行う際は以下のルールを守り、無駄なく目的を達成できるようにしましょう。

1. ミーティングの必要性を確認する

仕事に必要なのはより多くのディスカッションではなく、課題を解決するアクションです。参加者全員のリソースを一度に消費する対面でのミーティングではなく、メールで十分な場合もあります。ミーティングを招集する前に、必ずその必要性を確認しましょう。

2. 目的を定義し、アジェンダを作成する

ミーティングの生産性は冒頭でその目的を共有するだけでも大きく改善します。参加者全員がディスカッションすべきポイントを正しく理解し、設定された時間内に目的が達成されるように、アジェンダを用意します。アジェンダは原則としてミーティングの招集者が用意し、参加者への事前共有を行いましょう。

3. 最小限の時間と人数を指定する

不要なミーティングへの招集や、必要以上の時間設定は参加者のオーバーワークや、生産性の低下を招きます。ディスカッションへの参加が不可欠な人物のみ招集し、ミーティング目的を達成するために必要最低限の時間を設定しましょう。

4. 事前に発言内容、参考情報・資料をまとめる

参加者の準備が不十分である場合、ミーティングは遅延し、十分な対話が行われず、無駄になる可能性があります。ミーティングに貢献するためには、共有されたアジェンダを基に、想定される発言内容や、参考となる情報や資料は必ず事前にまとめておきましょう。

5. 開始時間、終了時間を厳守する

業務効率化のためだけでなく、参加者への礼儀としてミーティングは指定の時間通りに実行します。ミーティングの流れは原則アジェンダに沿って、招集者が管理し、時間内に目的を達成しましょう。

6. インプットを求める

アジェンダの各議題に対して十分な対話が行われるよう、参加者全員に積極的なインプットを求めます。議題を進める際は必ず追加の発言の有無を確認し、十分に議論が行われていないと感じれば、特定の人物に発言を求めます。招集者は全員が発言しやすい空気作りを行い、出来るだけ多くのインプットを得るようにしましょう。

7. アジェンダを守る

目的に無関係なトピックやディテールのディスカッションはミーティングの目的達成を阻みます。無関係なディスカッションは後日のトピックとして記録するなどして、一度その場を区切り、アジェンダに戻ります。

8. アイディアを受け入れる

ミーティングの基本的なマナーとして、発言されたアイディアを否定してはいけません。一旦オプションとして受け入れ、その正当性に対する質問を返し、議論へと発展させる事で、建設的な対話を成立させることができます。

9. ミーティングに100%集中する

参加したミーティングでは全議題に積極的なインプットが求められます。ミーティング中は常に発言者に注目し、PC、スマートフォンでメールや不要な情報の閲覧、他のタスクを行わないようにしてください。

10. ポイントとタスクをまとめる

ミーティングのアウトプットで最も重要なのはディスカッションのポイントとタスクに対する合意です。招集者は議題を進める度に必ずこれらを復唱し、追加項目の有無を確認してください。ミーティング終了時には全てのポイントとタスクを再度確認し、議事録として記録・共有し、次のミーティングで進捗を確認できるようにします。

ワンページメモを用いたシンプルで説得力のある提案書の書き方

提案書のライティングはマーケティングやコミュニケーションの仕事に携わる人が一番に学ぶべきスキルです。情報を整理し、相手に正しく伝え、説得をする事が出来なければ、私たちの仕事は勤まりません。特に組織をまたぐ、大きなチームでの仕事は様々な局面で合意形成を必要とし、情報伝達の遅延やミスがプロジェクトの失敗につながります。

※2016年3月4日追記 : ワンページメモの最新版記事を公開しました。

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提案書はパワーポイントではなく、必ずテキストのアウトラインから作成します。資料に含まれる全ての情報を書き出し、分類・整理し、相手の説得に必要な論理展開を確立します。アウトラインの段階では、相手が提案を受け入れやすい順番に情報が整理されているか、正しい判断を行うための情報が正確に(抜け落ちや間違いがなく)表現されているか、そして無駄や矛盾点がなく、要点を簡潔に伝えることができているかを確認します。 情報を正しい順番に整理するためには、ワンページメモというシンプルなフレームワークを使用します。このフレームワークを繰り返し使用することで、誰でも自然な論理展開や、説得力のある提案ができるようになります。ワンページメモでは提案の相手、提案書の目的、提案の背景、提案、提案の具体的内容、提案の根拠、そしてネクストステップの順に情報をまとめていきます。

提案の相手

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提案は相手に論理的だけでなく、感情的にも受け入れてもらわなければ、通ることはありません。そのため、提案を行う相手のことを知らなければ、説得をすることは困難になります。どんなに正しい結論も、相手が不愉快に感じたり、理解ができなかったりすれば、受け入れられる事はないでしょう。 論理的に、感情的に受け入れられ提案書を作るためには、先ずは相手を定義し、その好み、意識している課題、そして専門用語に対するリテラシーを明確にしましょう。

提案書の目的

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提案に含まれる情報が多いほど、相手から疑問を指摘される可能性が増えます。提案書には目的を達成するために必要最低限の情報を含めるようにしましょう。提案書の目的を事前に定義しなければ、不要な情報を残したり、必要な情報を入れ忘れたりする可能性があります。 例えば、上司にマーケティング活動に対する投資金額を承諾してもらう事が目的であれば、提案書はその費用対効果のみにフォーカスすべきでしょう。後に修正可能なクリエイティブの詳細などを含めた場合、その不要なディテールで提案を拒否される可能性があります。提案するプロジェクトの目的ではなく、提案書自体の目的を定義するのはこのためです。

提案の背景

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人は現況を改善するよりも、目の前の課題を解決するために積極的に動きます。相手に提案を受け入れさせ、アクションを取らせるためには課題を認識させる必要があります。このために提案の背景を客観的な事実として、相手にインパクトのある「WOWファクト」のカタチで伝えます。ポイントは客観的なデータを含め、何か別の事実と比較し明確に課題を伝えることで、相手に不信感を持たせたり、無関心にさせたりしないことです。 例えば、「自社のWebサイトのトラフィックはわずか月間30万セッションである」と伝えても「わずか」の基準が主観的であり、相手は強い関心を示さないでしょう。それを「競合A社のWebサイトのトラフィックは月間150万セッションであるが、自社のWebサイトはわずか30万セッションである」と伝えれば課題は明確であり、相手も関心を示すでしょう。背景は提案の具体的な手法までを正当化させるために必要なだけ列挙しましょう。

提案

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背景を理解した相手は既に課題を感じています。次にこれから説明する提案に対し、好感を抱いてもらうことで、前向きに検討をしてもらいます。ここでは実施する内容と、得られる結果を一文で明記し、詳細を理解してもらうより良い印象を与える事にフォーカスします。 「◯◯を実施し、◯◯を達成する」というように「アクション→結果」の順番で書くと、他のアクションの可能性が想起されにくく、より強い印象を与えられます。もちろん、提案の内容は先程の背景に基づいて論理的である必要があります。

提案の具体的内容

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この時点で相手は課題を解決してくれる提案に興味を持っています。しかし、メリットばかりを伝えられても提案は承諾できません。Amazonで買い物をする人はネガティブなレビューを読んだ後に商品を購入した経験があるでしょう。これはネガティブなレビューに書かれた内容が許容範囲内であることを確認できたため、購入しているのです。 何かを購入した、又は提案を承諾したということは、そのコストやデメリット、リスクなどを許容したということです。提案の具体的内容では、その実施方法においてこれらが全て許容できるものであり、最善の選択肢であるということを伝えなければいけません。コストに対し、十分なリターンが期待できる。確実に発生するデメリットよりも大きなメリットが存在する。リスクに対し、十分な回避策やバッファ想定されている。十分な数のオプションを検討した結果、最適な提案である。提案を受ける相手はこれらの情報を確認することで、初めて提案を承諾することができます。

提案の根拠

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人は自らが合理的な判断をしていると信じています。そのため、自ら非合理だと思う発言はなかなかできません。提案の根拠は断る事が非合理であると感じさせ、「NO」と言えなくするものです。 ワンページメモのフォーマットでは提案に対し、3つの根拠を記載します。その根拠の内容にガイドラインはありませんが、効果的なものはあります。一つ目は「相手の戦略への合致」です。そもそも自分がやりたいと言っていたことを否定すれば自己否定となってしまいます。提案している内容は相手が前から求めていたものだと客観的に伝えることが出来れば、断る事は難しくなります。二つ目は「成功事例」です。過去に同じ内容で成功した事例があり、成功する見込が高ければ、断る事は非合理的です。三つ目は「経済的利益」です。実施することで大きな経済的利益を得られるのであれば、これを断る事も非合理的です。

ネクストステップ

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ここまで論理的に提案を進めても、相手が結論を持ち帰ってしまえば提案が承諾される可能性は低下します。可能な限り、その場での承諾を得るために、「担当者をアサインする」など、相手がその場で行うことができる「簡単なタスク」をから始まる2〜4のネクストステップを「短い期日」を含めて提示します。ポイントはその場で相手のアクションを促し、自らの行動からプロジェクトに勢いを与えることで、後戻りをできなくすることです。 相手からその場で承諾を得る方法は他にもあります。例えば、「この提案で目的達成が可能か」「この提案は実施する価値があるか」というような目的達成に対する合理的な質問に対して「YES」を得れば、「では実施して宜しいですね?」というフォローを入れ、提案の承諾を得ることができます。「プランA、プランBのどちらが目標達成に最適か」という選択にどちらかの返答を得られれば、同じく簡単に承認を得ることができます。ポイントは相手に自身の返答が合理的であると感じさせること。提案書の内容に加え、相手が持っている知識や情報をベースに判断できる選択を与えましょう。更に、将来的な実施に対する条件に承諾してもらうことも可能です。例えば、提案内容より小規模なテストを行い、ある目標値を達成したら全体を実施するという承諾を得れば、あとはその目標値を達成するだけです。

プレゼンテーション資料の作成

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ネクストステップまでのアウトラインをワンページメモの形式でまとまれば、プレゼンテーション資料の作成を開始することができます。提案の具体内容のボリュームにより、大幅に増えてしまうこともありますが、できるだけ少ないスライド数でまとめるように心がけましょう。重要なのはそれぞれのスライドで相手に最も「理解して欲しいこと」「感じて欲しいこと」を事前に明確にすることです。 その情報を基に、スライド毎のコンテンツに強弱を付け、整理します。目的に適したヒエラルキーとなるよう、適切な文字のフォントやウェイト、カラー、装飾を選択し、サイズやレイアウトを調整します。また、スライド毎の要点はイメージや表、グラフなどのビジュアルを加えて強調するようにしましょう。

簡略化

最後に不要な言葉や要素を削り、理解しづらい表現を修正します。相手に考えさせずに、自然と情報を受け入れてもらえるよう、不要に疑問を感じる可能性のある要素を排除します。提案相手に近いリテラシーの人物に対して練習を重ね、少しでも疑問を感じる箇所を1つずつ潰していくと良いでしょう。

5分でタスクを最適化するタイムマネジメントの6プロセス

人は1日1時間を無駄にするだけで、年間で6週間を失います。タイムマネジメントが出来ない人間は、タスクが発生する度に反応的に処理をしてしまうため、常に重要な仕事から引き離され、集中力を戻すための時間を多く消耗します。彼らはどれだけ忙しくても、優先順位の高いタスクに効率的に取り組むことができないため、決して大きな結果を出すことはありません。確実に結果を出す、優秀な人材となるために、タイムマネジメントは不可欠です。

しかし、タイムマネジメントを実施するために多くの時間を費やしていては本末転倒です。以下では、チェット・ホームズの「究極のセールスマシン」に記載されている、1日5分でタスクにかける時間を最適化できるタイムマネジメントのプロセスを紹介します。

1. タスクには一度しか触れない

タスクの切り替えは多くの時間を要しますが、全く生産的ではありません。更に人間の脳は、タスクの切り替えだけでタスクの終了時と似た達成感を味わうとも言われています。一日の中でタスクの切り替えを少なくする事こそ生産性の向上につながります。

一度触れたタスクは必ず完了させるか、ファインリングをするか、捨てるようにしましょう。特にメールやメモを開いたときは何らかのアクションを取り、必ずタスクを進めてください。仕事に関わる全員が効率的なタイムマネジメントが行えるよう、メールの件名は必ず内容を反映するようにしましょう。

また、鉄則として2分以下で対応できるタスクはその場で処理しましょう。簡単な連絡事項に即時対応することで自分がボトルネックになることを防ぎます。

2. 重要度の高いタスクのリストを作る

タスクをリストで管理していない人はほぼ反応的に仕事をしていると考えていいでしょう。また、リストに無数のタスクがある人は簡単なタスクから処理し、難しい物を後回しにする傾向があります。タスクはリストで管理し、必ずプライオリティを明確にしましょう。

1日のはじめに達成したい6つの最も重要なタスクをリストにします。継続的に管理しているマスターリストからデイリーのタスクを引き出せば、簡単に作成できるはずです。大きなタスクは分解し、必ず6つのタスクを完了できるようにしてください。

6つのタスクリスト例

  1. クライアントA提案資料アウトライン作成
  2. クライアントAキャンペーン効果測定レポート作成
  3. クライアントBソーシャルメディアリサーチデータ収集
  4. クライアントCミーティングセットアップ
  5. 社内ミーティング用メモ・アジェンダ作成
  6. ワークフローについて社内ミーティング実施

3. タスクに時間を割り当てる

タスクを十分に分解することができていれば、そのタスクを完了するために必要な時間がわかるはずです。一つ一つのタスクを完了させるために必要な時間を割り当てて、合計が6時間となるようにしてください。合計が11時間になるようでは現実的ではありません。

  1. クライアントA提案資料アウトライン作成(1時間30分)
  2. クライアントAキャンペーン効果測定レポート作成(1時間30分)
  3. クライアントBソーシャルメディアリサーチデータ収集(1時間)
  4. クライアントCミーティングセットアップ(15分)
  5. 社内ミーティング用メモ・アジェンダ作成(45分)
  6. ワークフローについて社内ミーティング実施(1時間)

4. 一日の予定を立てる

全てのタスクに時間を割り当てたら、一日の予定を立てます。直接Googleカレンダーなどに入力し、他のタスクが発生しても引き離されないようにしてください。また、メールのチェックや処理、定例ミーティングや社内業務の確認など、タスクとして事前に想定できない業務にも時間を割り当てるようにしましょう。

一日の予定例

  • 10:00-10:30 : メールのチェック・処理
  • 10:30-11:00 : 定例ミーティング
  • 11:00-11:15 : クライアントCミーティングセットアップ
  • 11:15-12:45 : クライアントA提案資料アウトライン作成
  • 12:45-13:45 : クライアントBソーシャルメディアリサーチデータ収集
  • 13:45-14:45 : ランチ
  • 14:45-16:15 : クライアントAキャンペーン効果測定レポート作成
  • 16:15-16:45 : 進行中案件の確認
  • 16:45-17:30 : 社内ミーティング用メモ・アジェンダ作成
  • 17:30-18:30 : ワークフローについて社内ミーティング実施
  • 18:30-19:00 : メールのチェック・処理

5. 優先順位を明確にする

タスクの中でも結果に繋がるものと繋がらないものがあります。重要なタスクは早い時間に、優先的に処理するようにしましょう。優先順位の低いタスクばかりをやっている「忙しい人」は大きな結果を出すことはできません。優先順位を明確にし、高いものから処理することこそ結果を出すために最も重要なことです。

また、業務タスクをひたすら処理するだけでは個人的な成長やチームの業務改善はできません。業務タスク以外でも優先順位の高いものは必ずタスク化し、早めに対応するようにしましょう。

タスクのマスターリストに「High」「Medium」「Low」の3つの重要度を設定すると管理がしやすくなります。

6. 不要なものは捨てる

ファイリングされたものの80%は二度と閲覧されません。不要なものが多く含まれたマスタータスクリストや受信トレイは理解するために多くの時間を必要とし、業務効率を低下させます。

Just in Case(念のため)ではなく、Just in Time(必要なだけ)を心がけ、不要なものは徹底的に削除し、重要なものに集中できるようにしましょう。

上記6つのステップを徹底するだけで、大きな仕事の結果につながります。現在1つでも実施できていなければ、先ずはタイムマネジメントを始める時間をスケジュールに入れることから始めてください。

提案の5ステップ : PSFとONE PAGE MEMO

P&Gの研修にOne Page Memo Writingというトレーニングがあります。情報を簡潔に整理し、順を追って伝えることで相手を説得する手法です。私も教えてもらう機会があり、以来全てのプレゼンテーションに活用しています。元々はPersuasive Selling Format(PSF)というセールスプレゼンテーションのフォーマットだったようですが、提案もある種のセールスと考えれば、プロセスは同じです。

※2016年3月4日追記 : ワンページメモの最新版記事を公開しました。

1. 状況をまとめる

相手がこちらの話に興味を持ち、受け入れやすくなる情報をセットアップとして伝える。相手が明らかに重視しているポイントや注目する業界の動向などを含め、これから行う提案の背景として活用する。

2. アイディアを述べる

相手の興味を獲得したら単刀直入に、アイディアを述べる。説得力があるように、提案内容を出来るだけ簡潔に伝える。

3. 具体策を説明する

提案を相手に伝えたら、具体的な内容を説明する。提案を実現する手法、コスト、スケジュールなど、相手が判断を行うために必要な情報を伝える。このステップを短くまとめることも大切。相手が安心し、提案を受け入れるために十分な情報だけに絞り、不要なディテールは省く。

4. 利点を強調する

相手が提案を詳細に理解したら、前進すべき理由を3つ伝える。2つでは不十分であり、4つでは一つ一つの理由が弱くなる。3つの理由には「相手の戦略に沿っている」「成功実績がある」「経済的利益が期待できる」などを含めると効果的。

5. 簡単なネクストステップを提案する

相手を説得したら、クロージングを行います。相手が受け入れやすく、簡単に実行できるネクストステップを提案することで、自然にプロジェクトを開始することができます。ネクストステップの提案では相手の状況を理解し、行動に対するバリアを取り除くことが重要です。

この流れを1ページのドキュメントに反映したものがOne Page Memoです。P&Gでは全てのビジネスドキュメントを簡潔に1ページにまとめることを推奨しています。ドキュメントは読者(相手)、日付、タイトルの記載から始まり、次に「ドキュメントの目的」が定義される。例えば企画に対する予算の承認を得ることが目的であれば、それを明記する。あとはPSFの流れに沿って、背景(状況)、提案(アイディア・具体策)、根拠(利点)、実行内容(ネクストステップ)を記載します。

この流れはパワーポイントのプレゼンテーションなどにも応用が可能です。スライド毎に各ステップを記載することで簡潔かつ説得力のあるプレゼンテーションを実現できます。また、ロジカルなフォーマットに沿って作成することで時間と労力を削減できます。最初は情報を整理することが難しいかもしれませんが、繰り返すことで上達し、主張がより明確になるはずです。セールスプレゼンテーションの成功率を上げたい人は是非活用してみてください。