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利益と成長をもたらす、ブランドパーパスの見つけ方

荻野 英希 /
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ブランドパーパスは、理想主義や利他主義に基づく思想ではありません。それは、人々の生活をより良いものにするという社会的な存在意義を通じて、ブランドが成長し続けるための方法です。前提として、ブランドのパーパスとビジネスのプロフィットを上下関係ではなく、表裏一体とすることが求められます。

人間の基本的価値に関わるパーパスは、人に存在意義を感じさせることで、ブランドとの深いつながりを生み出します。人間関係にもとづくすべてのビジネスにとって、人とのつながりは大切な資源です。パーパスは、従業員や顧客だけでなく、ブランドの言葉に耳を傾けるすべての聴衆とのつながりを可能にし、持続的な成長に必要な機会を創出します。

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5つの基本的価値

ブランドパーパスは、ブランドが社会に提供するベネフィットであるとも言えます。前回も紹介した書籍『GROW 本当のブランド理念について語ろう』では、人々との深いつながりを生み出すブランドパーパスは、5つの人間の基本的価値に関わるものであると紹介されています。製品やサービスの機能に立脚するものを選び、文の主語を消費者に変えれば、ブランドが消費者に提供するベネフィットとして活用することもできます。

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デイビッド・アーカーは、消費者が享受するベネフィットを、機能以外の3カテゴリーに分類しています。消費者の感情を刺激するエモーショナル・ベネフィット、消費者と準拠集団との関わりを示すソーシャル・ベネフィット、そして、消費者に自己表現の術を与えるセルフエクスプレッシブ・ベネフィットです。5つの基本的価値に関わるベネフィットは、自己肯定感、準拠集団との存在意義の共有感覚、価値観を表現する術を与え、アーカーが定義するすべてのベネフィットの要素を満たすものです。

つながりを生むストーリー

人々とのつながりの深さは、ブランドが伝えるストーリーの質によって決まります。ストーリーは、幅広い聴衆を魅了し、明快さと説得力を持ってメッセージを伝えるものです。その構造はブランドパーパスの効果的な伝達にも役立つはずです。

Story Spine”は、ストーリーの本質を3つの文章で定義するフレームワークです:

Hookと呼ばれる最初の文章は、文字通り聴衆の注目を引くためのものです。当たり前な正論や、綺麗事に聞こえるブランドパーパスが、人の心を動かす事はありません。ブランドは、社会の不利益を生む既成概念に対抗し、新しく、刺激的な「イデオロギー」を示すことで、聴衆の関心を獲得します。

次のBuildは、聴衆の興味を持続させるものです。人は、自分の価値観や信念を肯定するものに強い共感を覚えます。人が大切に想う価値を表すことで、ブランドは特別な意味を持つ存在になり得ます。

給料日を意味するPaydayは、聴衆に満足感を与えるものです。パーパスを達成するブランドの意志に加え、その方法と能力を示すことで、人々に期待と希望を与えることができます。

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ブランドパーパスの伝達に必要なストーリーの本質は、あらゆるコミュニケーションの機会に適応することができます。雛型となるStory Spineがあれば、ストーリーの軸を見失うことなく、表現を改善し続けることができるはずです。

本物のブランドとは

パーパスに基づくブランドの活動は、すべて顧客の体験に集約されます。人々の生活をより良いものにする意志と努力は、パッケージ、店頭、広告、製品などすべての顧客接点に反映され、優れたブランド体験を創り出します。一方で、顧客はブランド体験のなかで矛盾する点を簡単に見つけ出します。聴衆のなかには、必ずブランドの真意に疑いを持ち、公の場でその嘘を暴こうとする人がいます。このような、一見厄介に思える人でさえも、パーパスに基づく本物のブランドにとっては、関節的な支援者になり得るのです。

一連のブランド体験を通じて、顧客を欺く方法はありません。唯一の解決策は、人々のより良いを生活の実現を、本心から求めることだけです。大切なのは、あなた自身が本当の価値観や信念を表していること。その価値観や信念に行動が基づいていること。そして、人々の生活をより良いものとし、ブランドを成長させ続けるというあなたの想いが、本物であると信じることです。

※本記事はDIGIDAYに寄稿したコラムを転載しています。

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